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【プロ野球】小笠原 サヨナラ弾 巨人移籍後初2010年9月11日 紙面から ◆巨人5−4広島クールに言葉を選ぶいつもの姿はなかった。巨人の小笠原はお立ち台で、新潟のファンに向かって「やりました〜」と珍しく興奮をあらわに叫んだ。延長10回、先頭打者として打席へ。2球目をとらえた打球は右翼席へ消えた。31号ソロは巨人に移籍して初のサヨナラアーチ。「感触は残っている」という会心の一振りで、もつれた試合に決着を付けた。 一歩間違えばチームが足元から崩れかねない危ういゲームだった。1点リードの9回。勝利を決めるグラウンドに、あるべきクルーンの姿がない。8回途中から登板していた山口がそのままマウンドへ向かった。原監督が込めたメッセージはただ1つ。不安定なクルーンに抑えは任せられない−。シーズン最終盤まで我慢を重ねてクローザーで起用してきた助っ人のプライドをかんがみず、しゃにむに勝利をつかみにいった。 そんな情けを排した采配(さいはい)も実らない。山口は2死満塁のピンチを招いて同点打を浴びた。原監督は「最善策ということ」と説明。敗れていたら、チームの歯車がさらに狂う致命的な一戦になっていた。 クルーンは延長10回から登場。打者3人を完ぺきに封じ込め、4勝目が転がり込んだ。健在ぶりを見せつけるような好投にも「与えられた役割をこなすだけ。チームの勝利に貢献できれば、それでいい」。屈辱を表に出そうとはしなかった。 ずっこけかけたチームを救った小笠原は「先を計算することはない。目の前の一戦に勝つだけ」と自らに言い聞かせた。11日は東京ドームで広島戦。16日ぶりに本拠地に戻る原監督は「ウキウキする。チームに勢いがつく」と歓迎した。まだペナントレースは終わっていない。決着が付くまで「最善策」を打っていく。 (永山陽平)
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