民主党代表選の投開票日が14日に迫る中、態度を明確にしていない中間派の議員は地元選挙区の支持者に投票先の決定を迫られ、菅直人首相、小沢一郎前幹事長の両陣営の働きかけも強まっている。週末を控えた10日、中間派議員の支持表明が相次いだ。【田中成之】
「我々は3カ月前、菅さんの推薦人になった責任の重さがある。野党時代は首相が1年ずつで代わるのを批判した。この際、菅首相を継続して支持する」
旧民社党系議員(約30人)が中心の党内グループ・民社協会は10日午後、国会内で役員会を開き代表選対応を協議。田中慶秋会長が首相支持の「会長見解」を発表した。支持を明確にしていなかった同協会には両派が盛んに誘いをかけており、10日午前には小沢氏も田中氏の議員会館の部屋を訪れた。首相陣営の幹部は「直前までドタバタした。良かった」とほっとした表情を見せた。だが、会長見解は投票行動を拘束するものではなく、小沢氏支持の動きも残る。
有志議員主催の公開討論会も開かれた。「投票の判断材料とするため」という趣旨だったが、会場には両派の議員が詰めかけ、首相と小沢氏が発言する度に支持議員による応援の拍手が会場を包んだ。
討論会後、中間派だった新人議員の態度表明も。福田衣里子衆院議員は「今の政治は必ずしも政治主導になっていない。小沢先生に官僚の壁を打ち破る強い気概を感じた」と表明。一方、横粂勝仁衆院議員は「菅首相のもとでの動きを止めず、前に進める」と語った。
「どちらとは言いませんが、態度表明した方がいいですよ。永田町は狭い。最後まで表明しなかった人のことはみんな覚えてます」
新人議員の一人は首相支持の閣僚からこんな電話を受けた。両陣営はラストスパートとして、週末に地元に帰る国会議員に直接働きかける構えだ。首相の陣営は閣僚による「戸別訪問」を、小沢氏の陣営も幹部が各地に出かけて支持を訴える「誠実作戦」(陣営関係者)を実行する予定。約50人の「中間派」の国会議員争奪戦が、いよいよ過熱してきた。
毎日新聞 2010年9月11日 東京朝刊