【社説】韓国による制裁内容、米国とイランを納得させよ

 韓国政府は8日、対イラン独自制裁の内容を発表した。それによると、イラン革命守備隊やイラン国営海運会社、イランの15の金融機関など計102の企業や団体、さらに24個人との金融取引を禁止し、そのうち一部に対しては韓国への入国をも禁止するというものだ。政府はさらに、大量破壊兵器の取引に関係しているとの疑惑が取りざたされるイラン国営メッラット銀行ソウル支店に対しては、外国為替取引法違反容疑を適用し、2カ月の営業停止命令を下した。さらに政府の許可がなければ、4万ユーロ(約440万円)以上の金融取引もできないようにした。ただし、イラン産原油の輸入に関しては、制裁対象から除外された。

 政府が今回発表したイランへの制裁は、今年6月に国連安全保障理事会がイランの核開発を阻止するために採択した制裁決議第1929号に従ったものだ。欧州連合(EU)、日本、カナダ、オーストラリアなど世界の主要国・地域が行っている制裁の内容と比較しても、その程度や範囲に大きな差はない。

 政府はこれまで、イランに対する制裁のレベルについて、何度も検討を重ねてきた。韓米同盟や北朝鮮の核問題をめぐる各国との協力、さらにイランの核開発を阻止するという国際的な動きに同調する一方で、年間取引額が100億ドル(約8300億円)規模に達する両国の経済関係に及ぼす影響を最小限にとどめる方法を模索する必要があったからだ。とりわけメッラット銀行ソウル支店をどうするかは重要なポイントだった。同銀はトルコ、アルメニア、韓国の3カ国にしか海外支店がない。米国は同銀ソウル支店をアジアにおけるイランの核開発資金窓口として注目しており、韓国政府に対してはこれを閉鎖するか、あるいはそれに準ずる措置を取るよう求めていた。一方イランは、韓国への報復を宣言している。

 この問題について政府が発表した対応は、「2カ月の営業停止→営業停止解除後にすべての金融取引を許可制にする」という折衷案だ。この措置に対して米国とイランがどのような反応を示すかはまだ分からない。もし米国が韓国の措置に不満を表明し、イランも韓国への報復に乗り出すようになれば、これは最悪のシナリオとなってしまう。制裁を主導する米国をはじめとする国際社会と、制裁を受けるイランの双方に対して、「韓国は困難な状況で最大限の努力を行った」と思わせることができるよう、外交面での今後の対応が非常に重要となってくる。何よりもイランの反発を最低限に抑えることができるよう、細心の注意を払うと同時に、国際社会による制裁が解除された後には、今回の制裁が両国関係正常化の障害にならないようにしなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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