【コラム】天安事件めぐりロシアが行った調査とは(下)

 政治的にも、ロシアは「天安が北朝鮮の攻撃で沈没した」という事実を容易には認められない国だ。ロシアも中国と同じく、北朝鮮を利用して米国をけん制しようという基本戦略を持っているからだ。どれだけ世の中が変わったとしても、ロシアと北朝鮮の関係は、韓国とロシアの関係とは次元が違う。ロシア側の「調査結果」なるものは最初から、その内容はともかく、政治的なものでしかなく、決して事実と言えるものではない。従って、ロシアの調査団を招いたこと自体が短見だった。

 北朝鮮の攻撃という事実を信じたくない人たちは、ロシアの「調査結果」を首を長くして待ちわびている。そして、ロシアがあいまいな内容を発表すれば、それを取り上げ、再び「疑惑パーティー」を繰り広げることだろう。今や、大学教授一人が実験室で、条件も合わせずに行った実験に基づく「疑惑」も、インターネットでは「真実」として流布してしまう世の中だ。若ければ若いほど、学歴が高ければ高いほど、「信じない」と言う方が賢く見える風潮もはびこっている。ロシアがエサを投げれば、何が起こるか、想像するのは難しくない。

 犯人を目の前にして繰り広げられる、こうしたあきれるような状況の責任は、韓国軍当局にある。積み重なった小さなウソと遅すぎる釈明のせいで、韓国軍当局は国民の信頼を大きく失ってしまった。天安を攻撃した北朝鮮軍の指揮官らも、韓国の状況がこれほど流動的になるとは予想していなかっただろう。

ユ・ヨンウォン記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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