振興銀:木村前会長を逮捕 現社長ら4人も 検査妨害

2010年7月14日 9時8分 更新:7月14日 21時28分

警視庁を出る日本振興銀行前会長の木村剛容疑者=東京・霞が関で2010年7月14日午後3時11分、尾籠章裕撮影
警視庁を出る日本振興銀行前会長の木村剛容疑者=東京・霞が関で2010年7月14日午後3時11分、尾籠章裕撮影
任意同行される日本振興銀行の西野達也社長(左から2人目)=東京都千代田区の同銀行本店で2010年7月14日午前10時23分、小林努撮影
任意同行される日本振興銀行の西野達也社長(左から2人目)=東京都千代田区の同銀行本店で2010年7月14日午前10時23分、小林努撮影

 日本振興銀行(東京都千代田区)の検査妨害事件で、金融庁の立ち入り検査を受けた際に取引に関する電子メールを削除したとして、警視庁捜査2課は14日、同行の前会長、木村剛容疑者(48)=5月に辞任=と社長、西野達也容疑者(54)ら計5人を銀行法違反(検査忌避)容疑で逮捕した。捜査2課は同行が組織ぐるみでメールを削除したとみて、事件の全容解明を進める。同行を巡る検査妨害行為は、新旧の経営トップが逮捕される異例の事態となった。

 他に逮捕されたのは同行の▽取締役、山口博之(48)▽元執行役、関本信洋(38)▽執行役、渡辺勝也(43)の3容疑者。木村前会長は容疑を否認し、4人は認めているという。

 逮捕容疑は、金融庁が同行のリスク管理状況などを調べるため検査に入った09年6月~今年3月、サーバーに保管されていた約280件の電子メールを意図的に削除するなどして、検査を妨害したとしている。

 同行は08年末ごろに商工ローン大手「SFCG」(旧商工ファンド、破産手続き中)から債権を買い取った際、SFCGから数億円の手数料を取り、1カ月後に債権を買い戻させる契約を結んでいた。金融庁は5月27日、手数料は事実上の金利に当たり、出資法が定める上限金利(29.2%)をはるかに上回る45.7%に相当する違法性の高いものだったとして、同行の一部業務を9月末まで停止させる命令を出した。

 削除されたメールには、こうした取引内容が記載されていたほか、同行の融資先企業百数十社で構成する「中小企業振興ネットワーク」の一部取引に関するものも含まれていたという。

 警視庁は6月に金融庁から刑事告発を受け、同行本店など数十カ所を家宅捜索するとともに、同行関係者から事情聴取し、木村前会長らの関与の有無などを捜査していた。

 同行は、日銀出身で小泉政権時代に金融庁顧問を務めた金融コンサルタントの木村前会長が東京青年会議所の有志らとともに04年に設立した中小企業融資専門銀行。全国に125店舗を構える。木村前会長は5月、業績悪化の責任を取り辞任した。

 西野社長は74年4月、旧第一勧業銀行に入行。05年11月に日本振興銀行に入り、09年6月から現職。同行本店などへの警視庁の家宅捜索翌日の6月12日の記者会見で「自分はメール削除には一切関与していない」と話していた。【酒井祥宏、川崎桂吾】

 ◇検査忌避

 金融機関が資料を隠したり、虚偽説明して検査を不正に免れる行為。銀行法25条で立ち入りの際に帳簿書類などの検査ができると規定されている。罰則は個人が1年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人は2億円以下の罰金。預金者保護や信用秩序維持のため、違反した場合、金融庁は行政処分をし、悪質な場合は刑事告発する。04年には旧UFJ銀行の元副頭取ら3人が逮捕・起訴され、有罪が確定している。

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