経営再建中の日本振興銀行(東京・千代田)は10日朝、債務超過に陥ったと金融庁に申請した。金融庁は同行の経営破綻を認定、3日間の業務停止命令を出した。自見庄三郎金融相は預金を一定額までしか保護しないペイオフを初めて発動すると表明。週明け以降に1預金者あたり「元本1000万円とその利息」まで預金の払い戻しに応じる一方、これを超える部分は支払額が一部カットされる見通しだ。
振興銀は同日朝、臨時取締役会を開き、自力再建を断念。預金保険法74条5項に基づき「その財産をもって債務を完済することができない」と金融庁に申し出た。東京地裁にも民事再生法の適用を同日中に申請する。8月末時点の債務超過額は1804億円に上る。
金融庁は振興銀の破綻を認定し、10日から12日まで3日間の業務停止命令を出した。これによって、振興銀の預金者が預金の払い戻しを申し込めるのは来週月曜日からになる。ただ9日までに契約済みの融資は予定通り実行する。
金融庁は経営陣に代わって業務運営にあたる金融整理管財人に預金保険機構を任命した。振興銀は13日午前9時から本店など16店舗で営業を再開、預金保険機構の管理下で預金の払い戻しや融資などの業務を継続する。
振興銀は一般の銀行と異なり、取り扱う預金の種類が運用目的の定期預金だけで、当座預金や普通預金など決済性預金は扱っていない。預金の払い戻しも郵送やインターネットで申し込むと、5営業日以降に他の銀行の口座に振り込む仕組み。預金者の日々の資金繰りへの影響は小さいとみられる。
直近の振興銀の預金者約11万人のうち、1000万円を超えるお金を預けている預金者は全体の3%の3560人程度で、大半の預金者の預金はすべて保護される。預金総額約5800億円のうち、一部払い戻しされない可能性がある預金は、120億円程度とみられる。
ペイオフ発動は1971年に預金保険制度が発足して以来初めて。振興銀は銀行間市場からの資金調達がなく、他の金融機関が連鎖破綻する懸念はない。不良債権比率が極めて高いこともあり、金融庁は公的資金の投入には国民の理解が得られないと判断したもようだ。
振興銀は2004年に中小企業専門銀行として発足したが、金融庁検査を巡る銀行法違反(検査忌避)容疑で、警視庁が木村剛前会長、西野達也前社長らを逮捕。社外取締役だった小畠晴喜(作家名・江上剛)社長が緊急登板して、業務体制を刷新し、自力再建を目指していた。
関係者によると、振興銀は最近まで資本増強に向けて出資者を探していた。ただ金融庁に不良債権の査定が甘いと指摘され、改めて精査した。その結果、貸倒引当金の不足が判明。損失計上すると、大幅な債務超過に陥る見通しとなり、増資交渉も断念した。
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