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人見狙金 |
9月3日(金)
前日の日記の背景について書く。
なぜみんなで、酔っぱらっていたとはいえTシャツが使い物にならなくなるような落書きをしたのか。
さらにはそれがボディーペインティングなどというほとんどイジメに近い行為にまで発展したのか。
それは、スナックがその日をもって店を閉めるからだったのだ。最後とあって常連客が集まり、どんちゃん騒ぎのお祭り騒ぎ。ようは無礼講だ。
そうはいっても人見さんはシャツ1枚を台無しにされてしまった。
普通なら怒ってもおかしくないところだが彼はそんなそぶりをいっさい見せず、その後はむしろ進んで体に書かせ、店を出るまでずっと上半身裸でいた。
その理由が面白い。この男、冗談なのかなんなのか、店のママを狙っているというのだ。シャツを脱ぎっぱなしだったのも、セクシーな肉体(自称)を見せつけるためだったらしい。
どこまでホントかわからないが、ママは中国の財閥のお嬢さま。大金持ちなのだ。
高円寺のこの店は趣味でやっていて、店の入っている建物も自分の持ちビル。高円寺をはじめ銀座にもいくつかビルを持ち、家賃収入だけで年に数千万円単位が入ってくるという。
ボクと彼女も、ママが大金持ちだということを知ったのはごく最近だ。店がいつもガラガラなので、これでは生活が大変だろうと余分に支払っていて、今になって思えばバカバカしい話である。
数年前に弁護士の夫と離婚。現在、近くに中学生の息子と二人で暮らしている。40代半ば。彼氏募集中だという(書けば書くほどなんだかウソっぽい感じになるが…)。
当初、ママに「ちょっとトシいってますけど、独身のいい男性がいるんですよ…」と山本さんの写真を見せた。
「この帽子、なにね? この下、どうなってる?」
「ファッションというか、ハゲ隠しです」
「この人、元気の体してる?」
「糖尿です」
「ギャンブルする人?」
「競馬依存症です」
「借金は?」
「そんなにはないっぽいです。住んでた家が競売にかけられて、お金が入ったみたいなんで」
「結婚してた人?」
「2回結婚してます。2回目は部下に奥さんを取られました」
「…谷さん、これダメ人間の典型ね!こんなのなぜ私にすすめる?」
すいません。却下どころか怒られてしまった。伝え方がよくなかったか。
このことを人見さんに話したら、「オレが日中友好の架け橋になりますよ!」と興奮し始めた。
フロなしアパートに住む男の、逆玉サクセスストーリー。目的は完全にカネである。
そして「オレの戦艦大和で」「このリトルボーイの威力は」「特攻」などと、友好と言いながらなぜかブツブツと不穏な単語を並び立てはじめ、それでもなんとなく色仕掛けで落としたいのだろうということは伝わってきた。
いざスナックに着くと、いきなりビートたけしの「浅草キッド」を歌いだした。夢追い人のピュアなイメージを印象づける腹か。
その後はラブソングを歌いながらママに熱い視線を送ったりと、作戦らしきものを実行しているようなのだがいっこうに効果がない。
そもそも相手は、もって回った歌詞になると意味がよくわからないようなのだ。
そうしているうちにTシャツへの落書きが始まり、これをチャンスとばかりに上半身裸とあいなったのだった。
あれから何日か経つが、まだ、彼からいい報告は届いていない。
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