「ネズミで地雷除去 弱虫は強い」 「ネズミを地雷探知に使う取り組みを進めている、 バート・ウィ―トジェンズさん(42歳)に密着。 ウィ―トジェンズさんは、鋭い嗅覚を持ち犬より軽いネズミなら 地雷を爆破することなく探知し、安全に除去せきるのでは考えた。 従来の人間による探知では、1日1人20平方メートル程度しか できないが、ネズミ3匹に探知させれば30分で100平方メートルの 作業が可能という」 調査員:谷村春香(大学生)・・・社会起業家について学んでいる。 「どうやって? どうすれば? が気になる。 自分もいつか世界を変えれる人になりたい」 アフリカ・タンザニアの首都から910キロ離れたモロコロにある、 アポポ(ネズミを使って地雷探知する事務所)を訪れた。 そこではネズミを使って、地雷探知の訓練をしている。 ネズミの種類は、アフリカオニネズミだ。 普通のネズミより大きくて、性格は優しい。 訓練されたネズミは鋭い嗅覚で地雷をみつける。 アポポを親友:クリストフ・コックスさんと創立したのは、 バート・ウィ―トジェンズさんだ。 彼はベルギー生まれのベルギー育ち。 父:ベルト、母:マリアの4人番目の子供として生まれた。 彼は4人兄弟の末っ子で皆に愛されて育った。 少年時代は礼儀正しい子だったが、思春期にはその反動かパンクな、 社会の事などに疑問を抱く青年になった。 大学を卒業した彼は、工業デザインの仕事に就き、その才能を 発揮していた。しかし、消費を煽る仕事に疑問を感じて悩んだ。 何の為の仕事かと悩み、引きこもりになってしまった。 社会との関わりを絶ってしまったのだ。 バートの両親は彼を心配した。 母:マリア「当時を思うとつらい。 眠れない夜があった。」 父:ベルト「必死で自分を探していたんだ。」 それは2年間続いた。 バート「あの頃、心がかき乱されて引裂かれるようだった。 プレッシャーに絶えられなかった。心が壊れた」 それを救ってくれたのは、アントワープ大学の恩師だった。 恩師:ミック・ビレットは彼にこう言ったのだ。 「よくあることだ、みんな自分と向き合う時がくる。 人生の目的ってなんだ?君は時間をムダにしている。 もういい加減、地部の可哀想がるのはやめなさい。 目標は果たせるか、何をしたいのか。分析しなさい」 バートは自分が何をしたいのか考えた。 地雷除去の仕事をしたい・・・それを聞いたミックは、 宿泊代・飛行機代を持ち、世界地雷会議にバートを参加させた。 バート「地雷の現場で使われているのは、ハイテクな物ばかりだった。 シンプルなものを考えなきゃと思った。 人生の方向転換をした」 空港の爆発物をネズミに検査させる事を思い出した。(これは失敗) バート自身も子供の頃、ネズミを飼っていた。 ネズミと人はパートナーになれる。 すでにあるものに頼りきって生きてきた、自分の思いつきから 物事をするのは初めてだった。 28歳でネズミを思いつくが、壁は高かった。 資金の為にNGOや政府に掛け合ったが、大笑いされて誰も本気にしない。 困ったバートはペットショップでネズミを購入し、実験をした。 こうして少しずつ証明していったのだ。 初期の計画書に社会的地位のある大学教授などにサインを貰った。 2年半でベルギー政府から資金を取りつけた。 アフリカオニネズミを選んだのは、寿命が8年と長かったからだ。 ベルギーで繁殖しようとしたが、普通のネズミとアフリカオニネズミが 互いに殺し会って全滅した。1ヵ月半で3回。 相性の悪いオスとメスは、メスが背中を見せて叫ぶのを見つけたバートは、 やっと相性の良いネズミ同士を繁殖に使った。 こうした粘りで、2000年にタンザニアに拠点を置く、アポポを 創立した。地元の大学が敷地を提供してくれ、アフリカ人の雇用を 増やす事もできた。バートはこの時33歳だった。 現在、アポポには124人のスタッフがいる。バートの思いつきから14年、 アポポは軌道にのった。 バートは毎日、夕方5時になると黒い衣を着て座禅を組む。 彼の欠かせない日課だ。 バートとは? ベルギー時代の友人:ブリュク・ドボアー 「内向的で自分のことだけやりたい人だった」 ベルギー時代の友人:スタンリー・レオン 「でも今は情熱に溢れている。決断力にも。 自分の進む道が分かっている。 ゴールはまだ見えないけど、自分の中の何かに 突き動かされてるんだろうね」 アポポのスタッフ:マジエンタ・ムティラ 「アイディアが凄いんだ。 思いつくだけじゃなく、それが本当に実現できるのを まわりの者は目の当りにできるんだ」 親友(アポポを一緒に創立した)・クリストフ・コックス 「明確なビジョンを持っていて、大きな道筋を見極める人だね。 アイディアを仲間と増やすのも得意なんだよ」 妻:モーリーン(バートの熱意に押されてアポポの職員うぃしている) 「私も最初はネズミがこんなことできると思わなくて、大笑いしてたの。 だんだん現実になるに従って、信じるようになったの。 妻として誇りに思ってるわ」 今バートは資金援助の交渉で、1年の3分の1は世界に飛んでいる。 バート「昔に比べて活動内容を知ってくれてるから 今は援助は貰いやすくなった。 でもまだミックなしでは・・・半人前だよ」 バートたちはネズミを使って結核検査を計画している。 ネズミは人間の唾液を嗅ぐだけで、結核にかかっている人間を探知する。 去年行った実験で、病院が見落とした517人を見つけ出した。 ネズミが何の成分を嗅いでいるのか、ネズミの能力について、 大学とも共同研究を始めた。 バート「本当はネズミだけじゃなくて、人間が重要。 アフリカの人が技術力を身につけることで、 もう先進国を頼らなくても良くなる。 そうすれば、南北の格差をなくす事ができるかもしれない。 僕は弱者と思われた人達にチャンスを与えたい。」 調査員:谷村 「遠い存在だと思っていたのが、グッと自分に近付いて 会えて嬉しかった。”才能”ではなくて、”思い”だと思うので 誰にでも可能性がある」 バートから日本の若者へメッセージ 「社会のプレッシャーに潰されちゃいけない。 世の中の問題点を自分にしか見つけられない、 解決策を探すんだ。 そうすれば、自信が生まれ、何よりも世の中がよくなるよ」 訓練に使うネズミは地元の人から1匹=150〜750円で購入する。 今は300匹いる。1匹に掛かる餌代は月に200円。 ネズミを使った地雷探知は、隣のモザンビークでの活動が殆どだ。 モザンビークは 17年前まで内戦があり、地雷が埋められている。 ネズミはハーネスをつけられ、紐に添って歩く。 ネズミが反応した所を金属探知機を使った後、掘り起こす。 地雷が見つかったら、遠隔操作で爆発させる。 ネズミはアポポから車で10分離れた広大な訓練場で、訓練を受ける。 生まれて2ヵ月のエヴァンスはハーネスを紐伝いに歩く。 火薬の入ったものを探すのだ。 エヴァンスが見つけたら、トレーナーはカチッと音を鳴らす。 するとエヴァンスは大急ぎでトレーナーの所に戻る。 見つけた褒美に餌(バナナ)を貰うのだ。 生まれてすぐに、カチッと音を鳴らして餌を与える。 次に火薬の匂いを染みこませた土をセットし、匂いを嗅いだら、 カチッと音を鳴らして餌を与える・・・・こうして訓練を始めていくのだ。 エヴァンスのトレーナー 「ネズミはあなた達よりも僕にとっては、友達だ」 トレーナーは生まれてまもないネズミを持ち歩き、生活音を 聞かせて、ネズミが人間に慣れるように訓練する。 担当するトレーナーがネズミに名前をつけている。 ネズミの性格は個体で違う。 ドウ―ベ・・・・・好奇心が旺盛なネズミ サハ―・・・・・・マイペースなネズミ リュ―・・・・・・・臆病、慎重なネズミ と様々だ。 訓練に地雷を使うが、爆発しないように処理したものを使う。 しかしネズミは地雷犬と違って、体重が軽い。 1kgから1.5kgなので、地雷を踏んだとしても爆発しない。 餌代も現地までの輸送費も安くてすむ。 そして作業が早い・・・100uを1匹が30分で調査できる。 ネズミは世界中どこにでもいる・・・ネズミを使った地雷探知のメリット。 バート「初めて成功した時はよく覚えている」 現在地雷除去に政府や企業・NGOが感心を持っているため、 援助金を出してくれる。アポポのHPには、日本からも僅かだが寄付がある。 解説・井上 「ビックリ! そんなアホな・・・と思う発想が大事。 アホな発想は現実を変える。アホは大事」 「バートもエライがミックもエライ。 ミックのような人を”励ましキャピタリストという。 ”素晴らしい””君はできる” −この一言が人を変える。 ミックさんのような人に会うには、自分のことを話すことが大事」 「弱虫は強い。 挫折、失敗したことが大きくきいてる。 彼は想像できる・・転んだことがある、失敗したことがある。」 ネズミが思いの他、大きくて可愛かった。 訓練をした後、バナナを手に持って食べている姿が 物凄く可愛かった。 アメリカのアニメ「トム&ジュリー」を見ても、猫はおバカだったもんね。 ネズミって本当に頭いいんだと感心した。 「ウィラード」だったか、ネズミと少年の物語の映画があった。 ネズミの恐怖を描いたものだったのだろうが、私はネズミと少年の 友情物語だと思っていた。 最後が切なくて、ネズミに泣かされたのはあれが初めてだったよ。 バートが繊細で感受性が豊か過ぎて、引きこもりになった時、 両親も周囲の人も心配したことだろう。 ミック教授がもし、声を掛けてくれなかったら、今のバートはいない。 ホント、”バートもエライが、ミックもエラい”だよ。 なんだかネズミを悪者扱いできなくなっちゃった。 凄く興味深い番組だったと思う。面白かった。 |
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■Social Good News 君は... 2009/10/28 17:47 |
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