女子高生のお尻ナデた消防士証拠は消せず

　広島県東広島市の２８歳の消防士長が女子高生のナンパに失敗し、お尻をなで回すなどして県迷惑防止条例違反の疑いで９日、県警東広島署に逮捕された。消防士長は、あとから連絡が来るとでも思ったのか、女子高生に渡した携帯電話のメールアドレスが動かぬ証拠になって御用。しかも前職は警察官で、ずっとあこがれていた消防士に３年前に採用されたが、今年４月に内勤に異動となったことが犯行動機である可能性が浮上してきた。

　東広島署に逮捕されたのは、東広島市消防局消防総務課の消防士長池崎匠（たくみ）容疑者（２８）。逮捕容疑は８月３日午後８時ごろ、同市高屋町高美が丘の住宅地の路上で、帰宅途中の高校１年の女子生徒に近寄り、体を触った疑い。池崎容疑者はいきなり肩に手を掛けたり、お尻をなで回すなど、無言で無視を続ける女子生徒にしつこく接触してきたという。

　女子生徒は気持ち悪い男につきまとわれ、怖くなって立ち去ろうとしたときに、池崎容疑者から紙片を渡された。そこには池崎容疑者の直筆で携帯電話のメールアドレスが書かれていた。帰宅した女子生徒はすぐに家族に話し、１１０番通報して渡された紙片を証拠として警察に提出した。池崎容疑者は女子生徒から連絡が来ると淡い期待を抱いていたとみられるが、アドレスが決定的な証拠になって逮捕されてしまった。池崎容疑者は「覚えがない」などと容疑を否認している。

　池崎容疑者は消防士になる前は広島県警三原署の巡査だった。幼いころから消防士にあこがれ、消防士試験を受けたが失敗し、警察官になった。しかし夢をあきらめきれず、０６年９月に東広島市の消防士試験を受け、同１２月に合格。０７年４月から同市消防士（定員２８１人）として消防署勤務に就いた。

　その後は順調に勤務をこなし、昇級試験にも合格して今年４月には消防士長になった。だが、現場勤務から内勤に異動。今回の事件現場の南側にあるスーパーやその周辺で、今年４月から似たような痴漢騒動が発生しており、捜査関係者は「内勤の不満があったんだろうか。余罪についても厳しく追及していく」と話している。

　市消防局は「事件当日も午後５時１５分まできっちり事務処理をしていた。欠勤もない。仕事ぶりの良好な職員だったので大変驚いている」と語った。

　［2010年9月10日10時59分　紙面から］