藤岡信勝の知ったかぶりの出鱈目ハングル教育論
例の間違いだらけの「新しい歴史教科書」を作った藤岡信勝・拓大客員教授がまた専門外の聞きかじり知識をひけらかし、物議を醸している。
「日本がハングルを学校で教えた」?無知か故意の悪意か、どちらかとしか言えない戯言だが、捏造知識に乗せられてしまう現象がネットに現れており、無視できない。
産経新聞のいわゆる『正論』の今日のコラムだが、「日本の歴史教育では、日本が日清戦争をたたかった真の目的を教えていない」といつもの不平タラタラの御託で始まり、「日本が最も求めていたのは、朝鮮国の清国からの独立だった」と、しょうもないことをさも大発見でもしたかのように書いている。
その根拠たるや、「戦争に勝った国は、講和条約の最初の条文にその国が最も欲することを書き込む」だから、こじつけのレベルの話である。
条約文はどれも形式上は美辞麗句を並べ、本音はそっと盛り込む。日清講和条約(下関条約)には日本が清国から得る領土や賠償金が明記されており、それこそ戦争の対価であり、目的であることは常識のレベルに属する。
さらに言えば、日清戦争の目的はその発端に明らかなように日本が朝鮮半島の支配権を得ることにあり、その前段階として清国の影響力を除去するために、1条に「清国ハ朝鮮国ノ完全無欠ナル独立自主ノ国タルコトヲ確認ス」と書き込んだにすぎない。
その後、日本は朝鮮へ本格進出し、植民地にするのである。
歴史に無知な藤岡氏は福沢諭吉らの言葉をどこからか拾ってきているが、勝手に引用するなと当の福沢らがあの世で怒っていよう。
「朝鮮の近代化は日本統治によって初めて実現した」がこの御仁の本音で、あとは便所の落書き程度の意味しかない。
「日韓併合100周年に当たっての菅直人首相の謝罪談話を推進した仙谷由人官房長官は『植民地支配の過酷さは、言葉を奪い、・・・」と発言した。あまりの無知に開いた口がふさがらない」と毒づくが、開いた口がふさがらないことを言っているのは自身である。
「仙谷氏の謬論を粉砕する決定的な事実」として「朝鮮総督府は小学校段階からハングルを教える教科書を用意し、日本が建てた5200校の小学校で教えた」と自慢げに挙げるが、一つのことを見てそれが全てと考える典型的な愚考である。
朝鮮には書堂という儒学者が教える学校や塾が全国無数にあり、中国からの使節団が「みんなが学んでいる」と紀行文に書き残しているほどである。
それもわからず、「李朝時代の朝鮮では、王宮に仕える一握りの官僚や知識人が漢文で読み書きをし、他の民衆はそれができないままに放置されていた。ハングルは15世紀に発明されていたが、文字を独占していた特権階層の人々の反対で使われていなかった」などと、事実と妄想をごちゃ混ぜにしている。
『韓国を強国に変えた男 朴正煕』に詳しいように、朝鮮総統府がハングルを教えたのは日本人化教育の助けになると考えたからであり、その後、徐々にハングル使用を禁止し、最終的には朝鮮語の使用すら取り締まるようになった。
「日本は朝鮮人が母国語の読み書きができるように文字を整備したのである。(それを否定するのは)先人の苦闘の歴史を冒涜・・・、日本統治下で近代化に努力した朝鮮の人々の奮闘をも侮辱するものであることを忘れてはならない」に至っては、笑止千万と言うしかない。
このような便所の落書の類を『正論』と称して流す新聞は、公器としての存在価値があるのか、疑問である。 似たような捏造を満載した「新しい歴史教科書」の発行元は産経グループの扶桑社であり、産経新聞が宣伝の主役を果たしてきた。アジアに敵対する歪んだ歴史認識を故意に流布しているのではないか。 |