ベルサイユ宮殿に巨大カッパ　「歴史遺産の冒とく」と批判も

９日、ベルサイユ宮殿の庭園に展示された「オーバル・ブッダ」の前に立つ村上隆さん Photo By 共同

　パリ郊外の世界遺産ベルサイユ宮殿で１４日に開幕する日本の現代芸術家、村上隆さんの作品展の会場が９日、メディアに公開された。２００人近い報道関係者が、庭園に据え付けられた高さ６メートル近い金のカッパ像「オーバル・ブッダ」などを鑑賞、関心の高さをうかがわせた。

　作品展をめぐっては、村上さんが美少女フィギュアを扱うことなどから、フランスの極右系団体が歴史遺産の冒とくなどと批判しているが、村上さんは記者会見で「作品に怒りを覚えるという、そうした感情は尊重する。だが展示計画を変えることはない」と述べた。

　ルイ１４世の居室など宮殿の見学順路に沿って、各部屋に計２０の作品が飾られた。第１次大戦の講和条約が結ばれた「鏡の間」にはポップな色彩にあふれた作品が据えられ、荘厳な周囲との対比を見せた。

　村上さんは会見で「重厚なバロック様式と、戦後日本のフラットな世界の衝突を通じて、美の相対化ができればいい」と語った。

　作品展の責任者ジャンジャック・アヤゴン氏は「歴史的建造物にわれわれの時代の感覚を注いでくれる」と作品展の意義を強調。批判については「論争は結構だが、（現代アートへの）偏見に基づく軽蔑があるとすれば悲しいことだ」と述べた。作品展は１２月１２日まで。

[ 2010年09月10日 08:44 ]