2010年9月10日12時7分
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経営破綻(はたん)を金融庁に申し出た日本振興銀行。東京都千代田区の本店前には、通常営業時の開店時間となる午前9時前から預金者数人が姿を見せた。しかし9時を過ぎても対応はなく、「どうして開かないんだ」と不満があふれた。
本店の電話は朝から留守番電話。再生される音声では、金融庁から処分を受けたことが説明され、今後の預金や融資について自動応答システム(0120・91・1607)にかけるよう促している。
2千万円ほど預けているという東京都台東区の70代の女性は8日に、満期で解約したいと銀行側に電話で相談した。担当者は「手続きに4、5日かかりますよ」と答えただけだったという。「銀行は安全第一で選ばないとだめなんだね」
東京都中央区の小伝馬町店で開店を待っていた同区の男性(73)の預金額は3千万円。「2千万円が消える。本当にショックだ」。入り口の扉をガタガタと揺すって悔しがった。預金したのは08年。1年定期で利率は1.3%だった。「利息がよすぎて変だとも思ったが、まさかできたばかりでつぶれるとは。事件が発覚した時に全部おろすべきだった」と悔やむ。
大阪市北区の梅田店を訪れた大阪府豊中市の無職男性(79)は1050万円ほど預けている。「早めに来れば、1千万円以上も返してくれるのではないかと思った」
一方、元本1千万円までのペイオフを確認し、少しほっとする人も。小伝馬町店を訪れた印刷会社経営の女性(42)の預金額はちょうど1千万円。「ちょっとのんきに構えすぎていた。こんな思いはもうしたくない」。神戸店に来た神戸市中央区の会社員男性(29)は720万円を預けていた。「メガバンクより数倍高い金利に目がくらんだ。今思えば異常で、『おかしい』と思うべきだった」