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【社会】

日医大病院で46人感染 バンコマイシン耐性腸球菌

2010年9月10日 朝刊

 東京都文京区の日本医科大病院で昨年末以降、計四十六人の入院患者が、抗生物質のほとんど効かないバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に集団感染していたことが分かった。うち十四人は死亡しているが、同病院は感染との因果関係を否定している。病院は保健所に通報したが、感染の事実を公表していなかった。 

 同病院や文京保健所によると、昨年十二月五日から今年二月十五日にかけ、同病院の血液内科に入院している二十〜八十代の患者二十人からVREを検出した。うち十九人は症状が出なかったが、五十代の男性患者が十二月三十一日、発熱と下痢を訴えた。この男性患者を含む八人は、その後死亡した。

 今年五月十八日から六月十五日には、集中治療室(ICU)などにいた二十六人の患者からVREを検出。うち六人は後に死亡した。

 いずれも院内感染の疑いがあり、病院はVRE陽性の患者を隔離するなどの対策を取った。死亡した十四人はリンパ腫や白血病などの重い病気を患っており、死亡とVRE感染に直接の関連はないと説明している。

 感染症法では、VRE発症者が出ると、七日以内に保健所に届け出なければならない。同病院は、発症者が出る以前の昨年十二月十一日にVRE検出を文京保健所に報告。さらに男性患者が発症してから七日目の今年一月六日、同法に基づく正式な届け出をしたが、一般には感染の事実を公表しなかった。

 病院側が、集団感染を公表しなかったことについて、京都大の一山(いちやま)智教授(感染制御学)は「約半年で四十六人という感染者は多い。公表して社会に注意を促し、改善を図るべきだった」と指摘した。

 昨秋、入院患者二十人のVRE感染を公表した健和会大手町病院(北九州市)の担当者は「病院にとってマイナスイメージになり判断が難しいが、公表して注意喚起をした方が再発防止が進むと考えた」と話している。

◆感染での死亡否定

 福永慶隆病院長のコメント 亡くなった患者はいずれも原疾患によるもので、VRE感染のためではなかった。残る患者は退院するか、入院中でも陰性を確認している。院内では情報を共有し、清掃方法の変更などの対策を講じた。

 

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