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振興銀破綻、初のペイオフ発動へ 元本1千万円まで保護(1/2ページ)

2010年9月10日9時17分

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写真:経営破綻した日本振興銀行本店に入る預金保険機構の職員ら=10日午前7時47分、東京都千代田区、水野義則撮影経営破綻した日本振興銀行本店に入る預金保険機構の職員ら=10日午前7時47分、東京都千代田区、水野義則撮影

 金融庁から行政処分を受けて経営再建中の日本振興銀行(東京都千代田区)は2010年9月中間決算で大幅な債務超過になる恐れが強まったため、10日朝、金融庁に対して経営破綻(はたん)することを申し出た。今年6月末時点ですでに、債務超過額は1870億円になっていた。これを受け、金融庁は全業務の停止を命じるとともに破綻処理の手続きに入った。預金者は1人につき元本1千万円とその利息までは保護され、払い戻される。ただし、それを超える金額は一定額までしか保護されない「ペイオフ」と呼ばれる仕組みが初めて発動される。

 金融庁は同日朝、業務停止命令を出した。本店と全国約110支店は開店せず、いったん預金の引き出しもできなくなった。今後、預金保険機構が土日の11、12日に各預金者に払い戻せる預金額を算出する。その上で、週明け13日以降に営業を再開し、預金の払い戻しの手続きに応じる方向で準備を進めている。

 振興銀は10日中に東京地裁に対し、民事再生法の適用を申請する予定。また、10日朝、金融庁に対して預金保険法74条に基づいて破綻処理に入ることを申し出た。これを受け、金融庁は振興銀をいったん政府の管理下に置く見通し。振興銀は週明け以降は通常通り営業を続けながら、「受け皿」となる別の金融機関などへの売却で再建を目指す。

 振興銀に対しては、昨年6月から約9カ月間にわたる異例の長さで金融庁が立ち入り検査した。その際、業務にかかわる重要な電子メールを意図的に多数削除したことなどの疑いから、金融庁が6月に刑事告発した。

 これを受け、警視庁は7月、小泉政権で当時の竹中平蔵金融担当相のブレーンとして金融庁顧問も務めた前会長の木村剛被告や前社長の西野達也被告ら旧経営幹部5人を検査妨害の疑いで逮捕、その後起訴した。逮捕後、社外取締役だった小畠晴喜氏(作家名・江上剛)が新社長に就き、再建を図ってきた。

 金融庁はまた、検査結果をもとに5月、大口の新規融資など振興銀の主な業務を約4カ月間停止するよう命令。融資の審査が甘いとして、大口融資先の担保が十分かどうかなどの再点検も命じた。振興銀は融資額が1億円以上の約150社を中心に経営状態や返済見通しなどを調査した結果、回収が難しい融資が多く見つかり、9月中間決算で貸し倒れに備えた引当金を大幅に積み増す必要があると判断した。

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