民主党代表選に立候補している小沢一郎前幹事長は8日、衆院議員会館で記者会見し、政権運営や重点政策について語った。【念佛明奈】
--円高が進み1ドル=83円となった。首相となった場合、日銀との関係は?
◆日銀は独立した地位にあるので、政府で指図するものではない。ただ円高対策、景気対策全般にしても、低金利が続いていて金融政策での対応に限界がきている。当面の円高対策として市場介入も腹をすえてやるべきではないか。財政の出動は当面予備的計上をした分だけだが、今後も円高が急速に進むことになれば、状況次第で国債の増発も念頭に入れざるを得ない事態になるかもしれない。
--米海兵隊の実戦部隊はいらないという発言の根拠は何ですか。また米軍普天間飛行場移設問題の解決策は?
◆海兵隊をはじめ、実戦部隊を前線に張りつける必要がないというのは、私の意見ではなく米国の戦略の基本だ。普天間については、まずは沖縄県民と、お互いに話をし、米政府とも話をして、なにかいい知恵を見いだすという以外にない。話をする前にアイデアがあるわけではない。
--沖縄、奄美への自衛隊の増強は念頭にありますか。
◆自衛隊の部隊を即配置するということを別に意味しているわけではない。奄美も沖縄も日本の領土だから、日本人自身が守っていくのは当然で、それが米軍の役割を少なくし、基地の縮小なりにつながればよりいいことではないか。
--首相になると(永住外国人の)地方参政権法案を成立させますか。
◆個人的な見解だが、永住外国人の地方参政権を世界で認める傾向になってきている。国政参加は国籍のない人には認められないが、税金も納めており、個人としてはいいのではないか。議論が分かれるので党内外で今後も議論を続ける。
--靖国神社について、A級戦犯は分祀(ぶんし)論、合祀論のどちらですか。首相になれば参拝しますか。
◆靖国は戦争でお国のために戦って亡くなった人を祭っている。A級戦犯は戦争そのものの行為で亡くなったわけではなく、本来の趣旨とは違うのではないか。合祀すべきではない。合祀される以前には、天皇陛下もお参りしていた。合祀から政治的な議論が出て、やめになった。(靖国神社が)本来の姿にかえれば、首相であろうが誰であろうが参拝して他国から批判される理由はない。
--代表になった場合、挙党一致をどう築きますか。
◆菅直人首相にも鳩山由紀夫前首相にも、政府の中で重要な役割を担っていただくのが目に見えて挙党一致になるし、いいのではないか。民主党の輿石東参院議員会長にも党や政府で大事な役割を担ってほしい。
--皇室の皇位継承者を増やすための皇室典範改正論議についてどう考えますか。
◆天皇家、日本国民統合の象徴の天皇陛下のことなので、軽々しく論ずることではないが、私としては女帝、女性天皇陛下がなられても別に不自然ではない。男系の男性に限る必要はないのではないか。
毎日新聞 2010年9月9日 東京朝刊