米原子力潜水艦「ハワイ」の内部取材から、最新の海の戦いの一端が見えてきました。
中国海軍の膨張や韓国の哨戒艦沈没事件など、日本周辺の海が波高くなる中、アメリカ軍の最新鋭原子力潜水艦が初めて日本に寄港しました。
FNNの内部取材で、最新の海の戦いの一端が見えてきました。
日本に今回、初めてアメリカの原子力潜水艦「ハワイ」が寄港した。
9月3日、横須賀に入港した最新鋭のアメリカ海軍の攻撃型原潜「ハワイ」は、全長115メートル、乗員136人、魚雷と巡航ミサイルを積んでいる。
撮影時、ミサイルの発射ハッチは隠され、その形状はわからなかった。
スティーブン・マック艦長は「艦内で質問できる時間もあります」と語った。
今回、艦内の一部が報道陣に公開された。
案内されたのは魚雷室で、ハワイはこの魚雷を最大38発搭載できるという。
続いて紹介されたのは、潜水艦の頭脳ともいうべき場所だった。
スティーブン・マック艦長は「ここがバージニア級の発令所です」と語った。
艦を操り攻撃も司令する頭脳ともいうべき発令所。
ここでは潜望鏡が消え、カメラからの画像が映し出される。
そして、多くのオペレーションには、タッチパネルが多用されるなど、従来の発令所とは一新されたシステムとなっていた。
そして、もう1つ公開された部屋があった。
乗組員は「11人のダイバーチームがこの中に入ったら、ハッチを閉めて海水で満たします」と話した。
艦の前半部に位置する部屋は、海軍の特殊部隊「シールズ」が出入りするハッチで、潜水艦から出撃したシールズは、目的地に上陸し、戦闘や情報収集を行う。
そして担当者は、思わぬことを口にした。
乗組員は「(陸上から)4kmほどで上陸できます。通常はかなり近いです」と話した。
陸上から4km、この証言はいったい何を意味するのか。
軍事評論家の岡部 いさく氏は、「陸地から4kmっていったら、これは普通、浅い海ですよね。つまり、原潜ハワイは、陸地に接近して、浅い海でも隠密行動ができる潜水艦ということになりますね」と語った。
陸地に近づける、浅い海で行動できる原潜、その意図とは。
軍事評論家の岡部 いさく氏は、「それは、情報収集任務ということが考えられますよね。ハワイが行動するであろう日本の近海には、黄海、東シナ海、南シナ海という、浅い海域が広がっています。しかも、ここの海域というのは、今、活動が活発化している中国海軍の行動圏でもあるわけですよね」と語った。
近年、海軍力を増強している中国は、韓国の哨戒艦沈没にからむ米韓の軍事演習に対抗する形で、7月に黄海や東シナ海で軍事演習を実施した。
しかし8月、今度はアメリカが中国と領土問題を抱えるベトナムと軍事交流、中国が活動する南シナ海に空母「ジョージ・ワシントン」を派遣するなど、その存在を印象づけた。
軍事評論家の岡部 いさく氏は、「ハワイは十分な攻撃能力を持っていますが、隠密偵察を行う特殊部隊シールズなどを乗せますし、通信傍受などを行うシステムを装備している。しかも、その情報を衛星を介して、アメリカ本国に送る能力もあるんですね。この展開を北朝鮮情勢と関連づけて考えることもできなくはないんですけれども、しかし、ハワイが日本に姿を見せたことに、もし神経をとがらせる国があるとしたら、それはむしろ中国なんじゃないかなと考えたくなりますよね」と語った。
ハワイでの取材の最後、スティーブン・マック艦長は「今では、潜水艦はどれくらいゆっくりと、そして浅いところで活動できるのかという質問を受けるようになりましたよ」と述べた。
極東の海では、米中の熱い戦いが始まっているようだった。
(09/10 00:59)