2010年9月9日22時43分
大化改新で知られる中大兄皇子(なかのおおえのおうじ=天智天皇)の母、斉明(さいめい)天皇(594〜661)の墓との説がある奈良県明日香村の牽牛子塚(けんごしづか)古墳(国史跡)が、当時の天皇家に特有の八角形墳であることが確認された。明日香村教育委員会が9日、発表した。墳丘全面が白い切り石で飾られ、内部の石室も巨大な柱状の切り石で囲われた例のない構造だったことも判明。斉明天皇は巨石による土木工事を好んだとされ、被葬者が同天皇であることがほぼ確実になった。
明日香村教委は、飛鳥地方の古墳群と藤原宮跡の世界遺産登録に向け、牽牛子塚古墳を昨年9月から調査。墳丘(高さ約4.5メートル)のすそは上からみると八角形状に削られており、北西のすそから3辺分の石敷き(長さ約14メートル)が見つかった。縦40〜60センチ、横30〜40センチの凝灰岩の切り石が石畳のように3列(幅約1メートル)にすき間なく並べられており、八角形になるように途中で約135度の角度で折れ曲がっていた。
墳丘は対辺の長さが約22メートルで3段構成だったと推定され、石敷きの外側に敷かれた砂利部分を含めると約32メートルに及ぶという。三角柱状に削った白い切り石やその破片が数百個以上出土し、村教委は、これらの石約7200個をピラミッド状に積み上げて斜面を飾っていたとみている。
また、墳丘内の石室(幅5メートル、奥行き3.5メートル、高さ2.5メートル)の側面が柱状の巨大な16の安山岩の切り石(高さ約2.8メートル、幅1.2メートル、厚さ70センチ)で囲まれていたことも確認された。