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■「代表選と外国人参政権」 2010/09/08 放送

 次の総理を決める民主党の代表選挙には党員・サポーターも投票できるのですが、そこに国籍の条件が設けられていないことは意外に知られていません。

 このため普段の選挙で投票権を持たない外国人が、日本の総理を選ぶ選挙に参加できるという矛盾が生じています。

 あらためて、永住外国人の地方参政権について考えてみました。




 <菅直人首相・8月31日>
 「日本の次期総理を選ぶ選挙でありますので…」

 総理を選ぶ選挙として注目を集める民主党代表選。

 国会議員、地方議員に加え、党員・サポーターも投票できます。

 在日韓国人のAさんは今年、民主党員になり、先週、代表選の投票券を受け取りました。

 <在日韓国人の民主党員 Aさん>
 「議員の友人から『民主党の党員・サポーターになれるで』と。『代表選で1票入れられる』と聞いて。それはぼくの心の中では画期的なことでした」

 民主党は、党員・サポーターに国籍の条件を設けていません。

 このため、日本国籍を持たない人でも代表選で1票を投じることができるわけです。

 <Aさん>
 「今回初めて1票入れる。初めてやから、それ(選挙)にかかわれるということはうれしいような」

 しかし、外国籍の人が総理を選ぶシステムには批判の声が上がります。

 <自民党 石破茂政調会長>
 「私どもとしては地方参政権を認めるべきでない、ましてや国政についての参政権。政党の代表者を決めるというのは実質参政権なのだけれども、政党のあり方というものをきちんと法律で位置づけていないからこんなことが起こるんだと思っています」

 一方でAさんは、この1票が地方参政権の獲得につながることを期待しています。

 <Aさん>
 「民主党を応援するのは、ぼくら永住外国人の参政権をこれから進めてくれるだろうということで応援してる。来年の統一地方選で、私らの1票で市会議員を選びたい」

 これまで、多くの在日コリアンが日本での選挙権を求めてきました。

 1990年、大阪に住む在日韓国人が選挙人名簿への登録を求めて提訴。

 <原告>
 「生きている間に1回は投票所に行ってみたい」

 1992年には、大学講師だった李英和(リ・ヨンファ)さんが在日党を旗揚げし、参議院選挙への出馬を表明します。

 <李英和さん>
 「『全ての外国人に参政権を』という私たちの一枚看板ですけど」


 最高裁は、95年、「憲法は永住外国人の参政権を保障していない」と在日コリアンの訴えを棄却する一方で、法律を改正して地方参政権を与えることは禁止していないという見解を示しました。

 大阪市立大学大学院教授で、在日韓国人3世の朴一(パク・イル)さんは、政治に外国人の意思を反映する必要性を語ります。

 <大阪市立大学大学院 朴一教授>
 「少子高齢化の時代を迎えて圧倒的に日本の労働力が不足する中、外国人の働く人が増えている。そういう人たちが住みやすい社会にしていくためには、ある部分で外国人の意思を行政に反映しないといけない」

 道路や公園、ゴミの問題など身近な町づくりに外国籍住民の意見を取り入れるためには、地方議員を選ぶ権利を与えることが大切だと言います。

 しかし台湾出身で、去年日本国籍を取得した金美齢(キン・ビレイ)さんは、参政権を要求するなら国籍をとればいいと反論します。

 <評論家 金美齢さん>
 「『日本の国籍は取りたくないけど、日本の政治には干渉したい』というのはフェアじゃない。日本の国のことは日本人が決める。これが基本的な考え方だと思っている」

 <朴一教授>
 「民族的なアイデンティティとして、韓国・朝鮮籍を維持したまま、ある程度日本人との平等な権利を行使したいということで参政権を望んできたわけですから、そういう人たちに参政権を取りたかったら日本国籍を取れと言うのは本末転倒」

 <金美齢さん>
 「場所によっては外国人がキャスティングボートを握ることがあり得るんです。不利なことを意図して決める場合もあるわけだから、そのときの危機管理。そういうことも想定して物事を考えないといけない」

 賛否両論が飛び交う中、民主党は政策集で外国人の地方参政権の実現を掲げています。

 <民主党 小沢一郎代表(当時)・2008年>
 「外国人参政権もできるだけ早く国会で通すことになればいいと、個人的に思っています」

 最も熱心なのは小沢前幹事長。

 韓国のイ・ミョンバク大統領に早期実現を約束していますが、党内には反対意見もあります。

 <民主党 渡部恒三議員>
 「みんな帰化できるようにしてあげればそれでいいんじゃないかな」

 自民党や国民新党、みんなの党はマニフェストで明確に反対を掲げていて、民主党が政権を取った後、反対派の動きは活発になっています。

 <自民党 大島理森幹事長>
 「日本人のこの主権を守るために断固反対し、阻止することを約束する」

 世界では、およそ40か国が何らかのかたちで、外国人の地方参政権を認めていて、北欧諸国は3年以上の居住、EU諸国ではEU加盟国出身者であることが条件となっています。

 OECDに加盟する先進国で、全く認めていないのは日本だけです。

 そこで、VOICEは、大阪・難波で緊急リサーチを試みました。

 あなたは、外国人の地方参政権に賛成ですか?

 それとも反対ですか?

 <男性・賛成>
 「賛成です。永住だったらいいんじゃないですか」
 <女性・反対>
 「反対ですね。日本の政治に携わるなら国籍を持つかたちが望ましいし」
 <女性・賛成>
 「住んでるかぎりには、その国のことに対して何か言いたいこともあるかなと思うので」
 <女性>
 「どちらとも言えないという感じですかね。国政ならちょっと反対しますけど」

 50人中、賛成が27人、反対が14人でした。


 在日韓国人の民主党員Aさんは、代表選の投票券に小沢氏の名前を書きました。

 <Aさん>
 「決め手は、小沢さんが韓国に行って、イ・ミョンバクさんと握手して参政権の問題に取り組むと言ったことが大きい。ぼくらの意見を反映してくれる人を選ばないと仕方がない。ぼくらはモノが言えないわけだから。1票を入れる権利がないわけだから」

 日本国籍のない党員やサポーターが総理を選ぶ選挙に参加することに問題はないのか、大阪で演説を終えた小沢前幹事長に聞いてみました。

 <小沢一郎前幹事長>
 「サポーターになってるの?サポーターになってれば、党としてサポーターとしては資格あるんじゃないですか?それは党の問題でしょ。ぼくが決める話じゃないでしょ。党の規則でもっていいということならそうなってるでしょうし」

 激戦となった民主党の代表選。

 外国籍の党員が投じる一票は、日本の将来にどんな影響を及ぼしていくのでしょうか。

 日本に住む永住外国人の数は、戦前から日本に住んでいる在日韓国・朝鮮人や台湾人とその子孫である「特別永住外国人」がおよそ42万人で、この人たちは帰化するなどして減少傾向にあります。

 一方で、急速に増えているのが、日本に10年以上住んで永住権を取得した「一般永住外国人」。

 現在はおよそ49万人いて、中国人とブラジル人が半分以上を占めています。

 外国籍の人たちの地方参政権を認めるのか、認めるのならどこまで対象を広げるのか、慎重な議論が必要です。




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