サクランボの生産量日本一の山形県東根市に来年4月、新設される市立さくらんぼ小学校の校歌を山形出身の作曲家、服部公一さん(77)が作詞・作曲した。ポップ調のメロディーの校歌「ひかる六つのさくらんぼ」で、服部さんは「明るいサクランボのように、子供たちが未来に夢を持てる歌にした」と言う。
服部さんは、幅広いジャンルの楽曲を手がけ、子供向けでは「アイスクリームの歌」などで知られる。
東根市は「佐藤錦」発祥の地だが、太平洋戦争中は、嗜好(しこう)品のサクランボは「不急作物」として切り倒され、芋や大豆が植えられた。小学2年で戦争が始まり、6年で終戦を迎えた服部さんは「子供らしい遊びはいっさいできなかった」と振り返る。「だからこそサクランボは戦後山形の希望のシンボルになった」
校歌は、6学年の子供たちを六つのサクランボに例え「宇宙めざしてぐんぐん伸びる」と歌う。「青雲の志のような歌はしみったれている」として「いまの子供に合った自由でかっこいい歌にした」と服部さんは話す。
県内は過疎が進んでいるが、宅地開発によって東根市の子供(12歳以下)は5838人(09年現在)で1年間で72人増えた。校名は昨年10月、市民の公募で決まり「サクランボのように太陽の光をたくさん浴びて」という願いが込められている。校歌は11月5日、市の音楽会で子供たちが歌い、正式にお披露目される。【和田明美】
「ひかる六つのさくらんぼ」(1番)
花の香りにみちている
この町で学ぶよろこび
村山野川、歌う流れ
豊かな未来を呼ぶ岸辺
聞いてよく見て考えて
宇宙めざしてぐんぐん伸びる
豊かな木の実だ きみぼく、私
六つそろった さくらんぼ小学校
毎日新聞 2010年9月3日 10時41分(最終更新 9月3日 11時05分)