現代の中国人の領土意識

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 9月7日、沖縄県の尖閣諸島の日本領海域で、中国の底引き網漁船が会場保安庁の巡視船に衝突した事件で、石垣海上保安部は8日、公務執行妨害容疑で漁船の中国人船長ヂャン其雄容疑者(41)を逮捕したという報道がありました。この尖閣諸島では、以前から領有権を主張する中国や台湾の活動家らが漁船で上陸を目指し、日本の領海に侵入したりと、領海警備の海上保安庁巡視船と衝突するなどのトラブルが発生しているところです。以前「中国人の縄張り感覚」でも、感覚の違いについて書きましたが、中国の領土に対する意識もまた特有です。

 尖閣諸島(せんかくしょとう)は、沖縄県石垣市に所属し、東シナ海の南西部(八重山諸島の北方)にある島嶼群。尖閣列島ともいう。中華人民共和国では釣魚島、中華民国では釣魚台列嶼と呼ぶ。1880年代後半から1940年にかけ、琉球諸島の住民が建設した船着場や鰹節工場などがあったが、後に無人島化した。1971年に地下資源埋蔵の可能性が確認されると、領有権を巡って中華人民共和国中華民国が領有権を主張し出した。日本国政府は沖縄県石垣市に、台湾宜蘭県に属すと、各々主張している。

 古来、中国の世界観によると、全世界は「中国」に住む天子の領土であり、そして全人類はみな、この天子に服従する臣民であると考えられてきました。しかし、全土は広大で、天子の威令も中央から遠く離れれば離れるほど、及びにくくなります。そういった地域は、天子が現地の首長に官位を与え、間接統治をしていました。分かりやすくいえば、辺境の遠く離れた地域では、現地の権力者が天子に贈り物を貢ぎ、官位をもらい、天子の威光を借りて統治する、これを「冊封」といいます。いわゆる自治領ないし属国ということです。
 日本では、古代邪馬台国の女王卑弥呼が、魏に使いを送り、「親魏倭王」の称号をもらい、統治したのはよく知られています。その後、聖徳太子の時代から外交方針を変更し、対等な国交を要求し、日本は唯一中国の属国となる事を免れましたが、匈奴やモンゴルは軍事力が弱まると、冊封を行うほかありませんでした。さらにベトナム、朝鮮も属国とならざるを得ませんでした。

 この東アジア冊封体制が破綻したのは、アヘン戦争以降です。しかし、中国人の心の底には、いまだかつての冊封体制の記憶が残っており、中国の歴代王朝の中で最大の領土を支配した清朝の領土範囲が基準となっています。よって、冊封国であった朝鮮、琉球(沖縄)、ベトナム、タイ、ビルマ(ミャンマー)は、中国の縄張りなのです。こちらからすれば、言いがかりだと思うのですが、中国人は当たり前だという考えなのですから、話し合いなどでは解決しません。上の地図にもあるように、南沙諸島も中国は領有権を主張しています。そうすると、当然台湾は中国の一部だという意識ですし、沖縄も当然危うい立場に置かれます。今は、まだアメリカの軍事力によって、牽制していますが、近い将来、アメリカがアジアから、また沖縄から撤退すれば、状況は激変するでしょう。

参考文献:「貝と羊の中国人」




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