公然陳列:ウィニー使い児童ポルノ…33歳容疑者を逮捕

2010年9月9日 11時43分 更新:9月9日 13時8分

 ファイル共有ソフト「Winny」(ウィニー)で女児のわいせつな動画を閲覧させたとして警視庁少年育成課は9日、岡山市北区大元2、無職、倉田友和容疑者(33)を児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)容疑で逮捕したと発表した。警察庁が1月に運用を始めた監視システムで、倉田容疑者が浮上した。ウィニーで児童ポルノを閲覧させる行為を公然陳列容疑で摘発したのは初という。【町田徳丈】

 ◇監視システムで浮上

 逮捕容疑は、7月15日、ウィニーを利用し、ファイル情報を暗号化する「キャッシュフォルダー」に女児のわいせつな動画2点を記録し、不特定多数が閲覧できる状態にしたとしている。

 倉田容疑者は容疑を認め「以前から中学生までの女児が好きだった。09年2月ごろからウィニーを使うようになり、興味本位で児童ポルノ動画や画像を収集していた」と供述。ウィニーを使った理由については「動画を収集するのに使い勝手がよかったから」と話しているという。

 倉田容疑者のパソコンにはウィニーで収集したアダルト画像や児童ポルノ画像など7万~8万件のファイルが保存されており、同課は解析を進めている。

 キャッシュフォルダーは利用者間でファイルを共有・交換する窓口となるフォルダーで、暗号化したファイル情報が保管される。ファイルは自動的にアップロードされて誰もが閲覧できる状態となるため、同課は公然陳列に問えると判断した。

 ◇「強制遮断逃れ」許さず

 ウィニーやシェアなどのファイル共有ソフトを通じて児童ポルノなどの違法ファイルが拡散している現状を打開しようと、警察庁は1月にファイル共有ソフトを監視する「P2P観測システム」を本格稼働させた。

 政府は児童ポルノサイトへのアクセスを強制的に遮断するブロッキング(閲覧防止)の導入準備を進めているが、ブロッキングでもファイル共有ソフトを介した拡散は防ぎようがない。

 捜査幹部は「ファイル共有ソフトが児童ポルノ流通の抜け道になる」と危機感を募らせる。

 ファイル共有ソフトにはさまざまなタイプがあるが、ウィニーやシェアなどは「第3世代」と呼ばれ、サーバーを介さずに複数の利用者のパソコン間で直接ファイル情報をやり取りする「P2Pネットワーク」を利用。さらに、情報が暗号化されるため、送信者の特定が困難で匿名性が高いのが特徴だ。

 社団法人「コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)」などが09年に実施した調査によると、回答者の約10人に1人がファイル共有ソフトを利用。このうちウィニー利用者は23%で最多で、ウィニーのファイル量は約600万件と推定された。

 「P2P観測システム」は、違法ファイルに関する情報を収集し、ファイル所有者のIPアドレス(コンピューターを特定する情報)などを割り出すものだ。京都府警が5月に摘発したシェアによる児童ポルノ提供事件でも、この監視システムが効果を発揮したという。【町田徳丈】

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