「第34回モントリオール世界映画祭」の授賞式が7日午前(現地時間6日夜)、カナダのモントリオールであり、李相日監督の映画「悪人」でヒロインを演じた女優・深津絵里(37)が最優秀女優賞を受賞した。同映画祭で、日本人女優の受賞は「天城越え」(1983年)の田中裕子(55)以来。壇上でトロフィーを受け取った深津は「メルシーボク(ありがとう)」とフランス語であいさつし、共演者やスタッフに感謝。共演の妻夫木聡(29)と抱き合って快挙を喜んだ。
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深津が日本人女優として27年ぶりの快挙を成し遂げた。「ベストアクトレス・イズ・エリ・フカツ」。名前が読み上げられると会場は割れんばかりの拍手に包まれたが、深津本人はキョトンとしたまま。時差ぼけもあり、一瞬受賞したことが分からなかったという。隣にいたプロデューサーが驚きの表情で見つめているのに気付き、やっと受賞を理解した。
壇上でははにかんだ笑顔を見せ「メルシーボク」とまずはフランス語であいさつ。その後は日本語で「本当にうれしいです。日本にいるキャスト、スタッフの皆にこの喜びを伝えたいです。ありがとうございました」と感謝した。
前夜の公式上映では観客のスタンディングオベーションに大感激。このときは初体験の海外の映画祭の雰囲気を楽しんでいたが、一晩でいきなり主役に躍り出た。
「悪人」は殺人を犯した男(妻夫木)と逃避行する紳士服店で働く女性(深津)を描いた物語。女性の孤独と愛を表現した迫真の演技が高く評価されての受賞で「監督の演出がなければあの演技はできなかったと思う」と李相日監督(36)に感謝した。
授賞式後は海外メディアの取材が殺到。取材攻勢が終わると会場のロビーで「おめでとう!」と出迎えた妻夫木とガッチリ抱き合い、快挙を喜び合った。作品の内容や撮影がハードだったこともあり、2人の間には同志のようなきずなが生まれているという。妻夫木は「家族が賞を取ったような気がします」とわがことのように喜んでいた。
深津は8日に帰国予定。11日には「悪人」が公開され、初日の舞台あいさつでファンに直接、喜びを伝えることになる。