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民主代表選:小沢氏「菅氏を重要閣僚に」 菅氏巻き返しへ

集会で代表選支持を訴える菅直人首相(左)自らの政策について会見する民主党の小沢一郎前幹事長(右)=2010年9月8日、手塚耕一郎撮影
集会で代表選支持を訴える菅直人首相(左)自らの政策について会見する民主党の小沢一郎前幹事長(右)=2010年9月8日、手塚耕一郎撮影

 民主党代表選(14日投開票)は8日、菅直人首相と小沢一郎前幹事長の両陣営が国会議員票の上積みに向け多数派工作を激化させた。小沢氏は、首相に就任した場合、菅氏を要職で起用する考えを表明。国債増発による財政出動に前向きな考えを示し、挙党態勢や経済対策で踏み込んだ。一方、国会議員票の追い上げを図る菅氏は緊急集会に121人(陣営発表)を集めて気勢を上げ、自ら新人議員の支持獲得に動いた。

 党員・サポーター票の劣勢を国会議員票で補いたい小沢氏は8日、代表選出馬の旗印としてきた「挙党態勢」の人事に踏み込んだ。

 衆院第2議員会館で記者会見し「特に鳩山由紀夫前首相、菅首相のお二人には政府の中で重要な役割を担っていただくのが目に見えて挙党一致になる」と両氏の重要閣僚起用を示唆。「輿石(東参院議員会長)先生にも党なり、政府なりで大事な役割を担ってほしい」とも述べ、菅、鳩山、小沢3氏に輿石氏を加えた「トロイカプラス1」体制を政権運営の基本とする考えを示した。菅首相も取り込む人事構想を示すことで、党内にくすぶる「分裂」への不安を打ち消す狙いだ。

 「政策」でも攻勢に出た。「当面の円高対策として市場介入も腹をすえてやるべきだ」と述べ、「後手」批判を受ける菅首相との違いを強調した。さらに「景気対策という点では国債の増発も念頭に入れざるを得ないときは迅速に判断してやるべきだ」と財政出動にも積極姿勢を示した。

 人事と政策の具体像を示して「小沢政権」への期待感を高める作戦だが、不透明な財源論に国債増発まで加わった経済政策は「バラマキ」色が一層強まり、「むちゃくちゃだ」(若手議員)との批判も広がる。人事構想も「脱小沢」路線を維持する菅首相との駆け引きの色合いが濃く、菅陣営の警戒感を誘う。

 対する菅陣営の「再選に向けた緊急集会」は同日、衆院第1議員会館の多目的ホールで開かれた。

 「チームプレーとリーダー(シップ)を調和させて頑張ってきていることで『もうちょっと菅にやらせよう』と応援いただいている。リーダー1人で改革なんかできっこない」。菅首相は前原誠司国土交通相、長妻昭厚生労働相、蓮舫行政刷新担当相ら居並ぶ閣僚たちとの「チーム菅」を前面に押し出し、「剛腕」が売りの小沢氏との対比で「オープンな民主党」づくりを訴えた。馬淵澄夫副国交相が「民主主義の原点は数でなく、開かれた議論だ」と「反小沢」を強調すると、会場は大きな拍手に包まれた。

 しかし、参加者は目標の150人に届かない121人。再選を確実にするには、国会議員411人の支持で小沢氏と拮抗(きっこう)する状況まで持ち込む必要がある。狙いは中間派の多い衆院142人の新人議員。首相は同日夜、新人議員との会食で2軒をはしごし、計約40人と「新人の熱い思いを感じ、民主党の原点に立った思いだ」と上機嫌に語り合った。

 この日、小沢氏と親しい鈴木宗男衆院議員(新党大地代表)の上告棄却が波紋を広げた。小沢氏を支持する三井辨雄国対委員長代理は記者団に「小沢氏を応援してもらっていたので影響が大きい。なぜ(最高裁の上告棄却が)この時期なのか非常に不思議に思う」と語った。

 菅陣営の集会では、選対本部長を務める江田五月前参院議長が鈴木議員の事件に触れ「政治とカネの問題は過去の問題ではない。卒業するためにどういう選択があるか。答えは一つ、菅直人だ」と「政治とカネ」問題を抱える小沢氏をあてこすった。【須藤孝、田中成之】

毎日新聞 2010年9月8日 21時23分(最終更新 9月9日 1時07分)

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