数々の疑惑の中、絶えず地元・北海道振興を訴えてきた鈴木宗男衆院議員。突然の上告棄却の知らせに、道内関係者もその「功」「罪」に揺れた。
「法に従うという意味では仕方がない。どこまでが『功』で、どこからが『罪』であるかの色分けは難しいが、領土問題を唱えたのは『功』の部分」。北方領土の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟の鈴木寛和副理事長(77)は、根室市の千島会館で緊急会見し、複雑な思いを吐露した。
鈴木議員は自民党時代の90年代、政府の四島一括返還方針に対し、段階的返還論を打ち出すなどし、物議を醸した。河田弘登志・同連盟根室支部長(75)は「われわれの運動としては一括を崩してはまずいと今でも思っている」と前置きしつつも「どういう形であっても、(ロシアとの)パイプを作ったことは間違いない。しばらく活動ができないと思うが、いなくなって領土交渉が頓挫するのでは困る」とクギを刺した。
釧路市の鈴木氏の事務所では、秘書らが電話対応に追われた。10日夜には市内のホテルに支持者を集め、「議員勤続25年・新党大地5周年記念『2010ムネオ感謝祭』」が行われる予定で、釧根連合後援会の小船井修一会長は「『感謝祭』には本人も来られるというし、その時に本人の声を聞きたい」と困惑げに話した。
一方、事件の贈賄側の島田建設(網走市)では当時の島田光雄社長ら役員はほとんど引退し、この日はひっそり。男性社員は「(事件について)私は一般社員で何とも言いようがない」と言葉少なだった。【本間浩昭、山田泰雄、渡部宏人】
毎日新聞 2010年9月8日 22時04分(最終更新 9月8日 22時36分)