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きょうのコラム「時鐘」 2010年9月9日
普通の台風は列島を北東方向へ「右肩上がり」に抜ける。台風9号は珍しい進路を取った。若狭湾から福井に上陸して、南東に進んだのである
日本海から北陸に接近する9月の台風といえば、バブル期の1991(平成3)年の19号を思い出した人も多かったろう。20年後の不景気のさなかは、台風まで「右肩下がり」になったのかと皮肉な思いで進路図に見入ったものだ 地域の防災力とは過去に体験した知恵の蓄積である。人間個々の体験が体系化されて社会のシステムとなる。が、最近は過去に例のない豪雨や台風の進路が目立ち、戸惑っているうちに被害が大きくなるケースが目立つ 予測のつかないのが自然災害である。人間が営む政治や経済でさえ明日の予測がつかない。だからといって自然災害と同じようにあきらめてしまってはそれまでだ。政治や経済で過去の知恵が生かされないのは政治家や財政家の怠慢であり、レベル低下の証しかもしれない 被害に遭われた方々はお気の毒だが自然災害に人災があるように、政治や財政にも「失政」「無策」という災害がある。防ぐ気になれば防げる。 |