かつては親しかった知人男性をにらみつける押尾被告。異様な雰囲気の中、証人尋問が始まった。
MDMAを同被告に渡した罪で服役中のこの男性は、昨年7月30日に押尾被告から依頼を受け、MDMAの錠剤10錠を入手。翌31日に東京・六本木ヒルズのマンションの一室で押尾被告に渡した。
受け取ったMDMAを押尾被告がしまったのは、玄関の靴箱に入ったスニーカーの中という意外な場所。知人男性は「違法薬物を隠すときはスニーカーに入れると聞きました」と証言した。
さらに、2人の間で「『アミノ酸』をMDMAの隠語として使っていた」と暴露。押尾被告が「オレ、よく筋トレするじゃん。MDMAをアミノ酸と呼ぶから」と発案したもので、メールでも「アミノ酸入る?」などと要求してきたという。
男性が「携帯でやり取りすると、(履歴が)残っちゃう」と忠告しても、「何で? 大丈夫でしょ。アミノ酸はアミノ酸だし」と気にも留めない様子だったといい、押尾被告の罪の意識の低さが露わになった。
これまで、押尾被告は知人男性からMDMAを譲り受けたことは認めたが、渡されたのは「錠剤」でなく「粉末」と説明。弁護側は「MDMAは田中さんが持ってきたもの」とし、田中さんへのMDMA譲渡は無罪を主張していた。だが、この日、知人男性はMDMAの形状など詳細に言及し、「粉末」ではなく、「錠剤」であることを主張した。
また、事件当日の8月2日、押尾被告は、事件現場となった部屋がある23階から、42階の別の部屋へ移動する際の非常階段で、錠剤が入ったプラスチックのボトルを男性に渡した。男性は空カプセルを部屋のトイレに流し、薬物はポリ袋に入れてゴミ捨て場に捨てたという。これらの薬物を男性は「使った薬物の残りが入っているのだと思った」と証言した。
知人男性の証言の間、押尾被告が、鬼の形相で男性をにらみつける場面。男性も被告を直視し、「男として潔く認めて責任を取ってほしい」と訴えた。