今回の裁判の鍵を握る香織さんの死亡時刻に関わる重要な証言が、飛び出した。
事件当日の午後7時10分に、元国会議員が押尾被告と交わした電話の内容について、検察官が「女性の容体について何と言っていたのか」とたずねた。
「もういっちゃってるんです。死んじゃってるんです」。
元国会議員が明らかにした同被告の発言は、生々しいものだった。
冒頭陳述によると、白目がむき出しになるなど香織さんに異変が起きたのは午後5時50分ごろで、死亡時刻は同6時53分ごろと推定。これに対し、弁護側は同6時ごろと主張しており、元国会議員の証言は、検察側の主張を裏付ける証拠となった。
元国会議員によると、押尾被告との電話のやりとりは計6回。最初は6時43分で、「意識がない」という押尾被告に、「動揺していたので落ち着かせ」、「速やかに119番しろ」と勧めたという。
だが、実際に119番がされたのは、押尾被告の友人が現場に到着した直後の午後9時19分。元国会議員との最初の電話から、香織さんを約2時間半も放置していたことになり、保護責任者遺棄致死罪の有力な根拠となりそうだ。
元国会議員は、当選1回の50代とみられる。押尾被告とは09年3月ごろ、スポーツクラブで知り合い、「若いながらも礼儀正しく体育会系のよい青年」との印象を持ち、同被告のコンサートに1回顔を出したこともあるという。