【コラム】田舎旅行の理想と現実(下)

 地方のペンションに関しては、消費者告発センターに多くの不満が寄せられる。規定では、一定期間内にキャンセルすれば基本的に予約金は全額返金となり、1週間以内なら90%、三日以内なら50%を返金することになっているが、「そんな規定は知らない」と突っぱねるペンションも多い。大都市に比べて流動人口が少ない地方の宿泊施設の場合、宿泊客の予約キャンセルで損害を被る確率はさらに高い。それでも、一方的な都合で「返金はできない」というのはおかしな話だ。また、農村の小さな民宿ならともかく、テレビCMを流すような高級ペンションでもカード払いを拒否するところがある。実際、企業が展開する1泊20万-40万ウォン(約1万4000円-2万8000円)の韓国伝統家屋型ペンションでもそうなのだから、あまりに身勝手というほかない。「うちは正規の宿泊施設ではなく、農村の民宿だ」と言い張るようなものだ。

 不親切なくせにやたらと高いソウルのホテルではなく、相手が「田舎の人」の場合、都会の人間の失望はさらに高い。地方への旅行では、「田舎の人情」のようなものを期待するからだ。

 せめて「機械」を導入してシステムを変えれば、地方での「人」に対する失望感もいくらか和らぐことだろう。バスターミナル問題も同じだ。ターミナルを運営する民間事業者は、カード会社に2-3%の手数料を吸い上げられるぐらいなら、「カードはダメ」と拒否した方がましだと考えている。このため、浦項市など幾つかの都市では、カード手数料を事業者に補てんするという条件で、バスターミナルにカード決済端末を設置した。観光を主な収入源とする地方都市が、この程度のシステム変更も行わないのは恥ずかしいことだ。

 大都市の人々は、最近では900ウォン(約64円)のバス代も1000ウォン(約71円)のジュース代も、カードで支払うことが多い。若い世代はなおさらだ。今は「田舎に行くと不便で余計に金が掛かる」「田舎の人の方が恐ろしい」という思いを我慢して飲み込んでいるが、こんな状況はいつまで続くのか。人々のこうした思いを変える努力をしなければ、韓国国内観光の品質に対する満足度は低下するばかりだ。

朴垠柱(パク・ウンジュ)企画取材部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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