【コラム】繰り返される「韓国型ニュース」(下)

 疑惑の実体や責任の所在が明らかにされることもほとんどない。与党の若手議員たちが、国家機関から違法な調査を受けたという問題は、政権が進退を懸けて究明すべき重大な問題だ。それは民主主義の存立に直結しているからだ。もし、議員たちの主張が事実でないとすれば、議員たちが政治的・法的に責任を取らなければならない。それにしても、調査を受けたと主張している議員たちは、その証拠を出そうとせず、一方で調査の背後にいるとされている人たちも知らんぷりを決め込んでいる。与党から巻き起こった違法な調査をめぐる騒動もまた、数日間で関心が薄れ、このまま忘れ去られるかと思いきや、再び話題になるという、珍しいパターンを見せている。

 こうした韓国型ニュースの刺激的な味に酔いしれていると、韓国以外のニュースや、国の将来に結び付く問題には鈍感になりがちだ。金総書記は今年に入り、2回も中国を訪問し、胡錦濤国家主席との間で「世代を超えた中朝両国の友好関係」を誓い合った。ところが、韓国では中朝両国首脳の密談の内容を知っている人は誰もいない。閣僚の候補者が偽装転入を何回繰り返したか、不動産をどれだけ所有しているかということには執拗(しつよう)なほど関心を持つ一方で、国の命運が懸かった事柄については、十分な情報を得ていないというわけだ。それにもかかわらず、李大統領は「金総書記がたびたび中国へ行くことについては、肯定的に評価する」と語った。

 一つの問題について、何一つ決着を付けられないまま、別の問題に押されて人々の関心が薄れていく。次に浮上した問題も、同じようにいつしか人々から忘れ去られ、また似たような疑惑が繰り返し浮上する。それが韓国型ニュースの構図だ。このままでは、そう遠くない将来に、首相や閣僚の候補者による偽装転入や違法・脱法行為が再び論議を呼び、与党の議員に対する違法な調査が再び問題になり、中朝両国の同盟関係が強まる中、韓国が有効な手を打てずに流される可能性が高い。韓国型ニュースは今このときも話題になり、さらに将来も話題になり続けるだろう。

朴斗植(パク・ドゥシク)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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