北朝鮮、水害支援でコメ、セメント、掘削機を要求(下)

 北朝鮮は後継者と目されるキム・ジョンウン氏の業績をつくり上げるため、昨年から平壌市の現代化事業を推進しているが、資材、装備などが不足しているという。大統領府の関係者は、「コメ支援は純粋に南北の赤十字社による人道的問題として発表されることになる。(水害支援の)品目、量については、組み合わせがいろいろ考えられるため、趣旨に合うものが何かについて検討中だ」と説明した。

 北朝鮮は現在、韓国からの支援を切実に望んでいる。権力継承や党代表者会議などの「ビッグイベント」を控え、民心を抑え込むためにも外部からの支援が必要だ。金正日(キム・ジョンイル)総書記が5月と8月に訪中したが、特に手に入ったものはなく、むしろ中国から「改革開放しろ」という圧力ばかり受けた。

 しかし、韓国政府は北朝鮮が対南政策の基調を180度転換するとの見方には慎重だ。大統領府高官は「(後継者が公になる可能性がある)党代表者会の終了後、ある程度見守らないと、北朝鮮がどの方向に向かうのか分からない」と述べた。ただし、北朝鮮が韓国の漁船テスン号を30日ぶりに送還し、韓国政府に支援を公式要請してきた点については、「全体的な流れの中では前向きなものだ」(大統領府高官)と受け止められている。

 北朝鮮による最近の動きは昨年の繰り返しではないかとの見解も聞かれる。北朝鮮は昨年4月の長距離ロケット発射、5月の2回目の核実験などで危機をあおった後、8月初めには、抑留していた米国人女性記者の釈放をえさにクリントン元米大統領を招くことに成功した。その後、北朝鮮は抑留していた開城工業団地の事業会社「現代峨山」社員やヨンアン号を釈放し、融和路線に転じた。さらに、南北首脳会談を打診してきた。今年は3月に韓国海軍の哨戒艦「天安」を爆沈し、南北間の緊張を高めておいて、8月末に抑留米国人を釈放するとして、カーター元米大統領を招いた。その後、韓国に水害支援を要求し、テスン号を釈放した点も似ている。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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