ハンギョレ・サランバン

グレッグ前大使は最近、寄稿文とインタビュー等を通してロシアが天安艦報告書を公開しない理由は、そうした場合に李明博大統領に大きな政治的打撃を与えることを憂慮するためであり、天安艦沈没に対する韓国政府の機密主義はベトナム戦争を触発したトンキン湾事件を連想させるという発言をし波紋を起こした経緯がある。

彼は<ソウル新聞>とのインタビューでも「(天安艦調査結果は)軍事的なイシューとみるより政治的懸案になってしまった」とし「天安艦事件を巡る論難を解消するため韓国政府が合同調査団の調査結果を全て公開すべきだ」と繰り返し強調した。

グレッグ前大使の国政監査証人出席については民主党が積極的だ。だが、政府とハンナラ党がグレッグ前大使の証人採択に同意するかは未知数だ。彼が韓国国会に証人として出席する場合、全世界の耳目が国会に集まり政府の天安艦調査結果の信頼性を巡る論難が世界的次元に広がりかねない。大統領府関係者は7日、グレッグ前大使の相次ぐ天安艦言及と関連して「グレッグ前大使がCIAにも務めていたのでソースがあるだろうが、引退して古くなっており今は在野の人であるのにどんな根拠を持ってそのような話をしたのか疑問がある」とし「その方のお言葉に比重を置く記事も見たが、新しい話ではなく、そのような仮説に対して政府が説明をしてきた」と話した。

一方、イ大統領は9〜11日にロシアを訪問し、ヤロスラブリで開かれる世界政策フォーラムに参加し、ドミトリー メドベージェフ ロシア大統領と首脳会談を行う予定だ。一部ではこの過程で韓国とロシアの間に天安艦調査結果を巡る意見交換がなされると展望している。

eニュースチーム

‘知韓派’ドナルド・グレッグは誰?

ドナルド・グレッグ前駐韓米大使は米国内の代表的知韓派人物だ。1951年米国中央情報局(CIA)情報部員として社会生活を始めたグレッグ前大使は、1973-1975年CIA韓国支部総責任者として韓国と縁を結んだ。彼は以後1989-1993年駐韓米大使館大使として韓国と再び縁を結ぶまで、米国国家安保会議委員(1979〜1981)とロナルド レーガン大統領安保担当補佐官(1982-1988年)として一貫して情報と安保部門で経歴を積んだ。

グレッグ前大使は特に金大中前大統領と格別の縁を結んでいることで良く知られている。グレッグ前大使がCIA韓国支部長として在任していた初年度の1973年8月8日、金前大統領が日本、東京で拉致され救命作業に深く介入したことが契機だった。当時、グレッグ支部長は金大中拉致事件が韓国中央情報部によって起きたものと結論を下し、当時ハビブ駐韓米大使とともに事態解決に努力した。金大中前大統領が拉致13日ぶりに生還できたのは、日本政府の努力と共にグレッグ前支部長の努力が大きな役割を果たしたと評価される。グレッグ前大使はまた、1980年5・18光州民主化運動の後、金前大統領に死刑宣告が下された時もロナルド レーガン大統領の特使として韓国に急派され、金大中救命運動を行った。

ドナルド・グレッグ前大使は駐韓米大使職を終え米国に帰った後は、ニューヨーク、マンハッタンでコリア ソサエティーを構成した後、韓国と米国の掛け橋の役割をしている。コリア ソサエティーはニューヨークで韓国を紹介できる各種講演会や展示会などを開催することにより、米国内に韓国を知らせることに大きな役割を果たしてきている。初代会長として直接活動をしてきた彼は現在は理事長としてコリア ソサエティーの業務を全般的に調整している。

このようにグレッグ前大使は知韓派ながらも共和党の核心要職を務め、韓国関連情報活動に精通した人物だ。こういう重みを持ったドナルド・グレッグが天安艦と関連して相次ぎ発言していることに対して、その意味に関する解釈が入り乱れている。さらに彼の「ロシアが調査報告書を明らかにしない理由は、それを公開すれば李明博政府に大きな打撃となるため」という内容の彼の寄稿文がニューヨークタイムスに載せられたこと等を考慮する時、米国内で天安艦を韓国政府とは違う視角で再検討してみなければならないのではないかという声が大きくなっているという指摘も出ている。

eニュースチーム

原文: http://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/438818.html 訳J.S