シャドウイング
シャドウイングとは
シャドウイングというのは、ネイティブの人が読んだ英語を聞きながら、それと同じ文章をそっくりそのまま
音読することです。ふつうの音読と違うのは、読む英文が文字として書かれていないことと、英語がぜんぶ
読まれてからその英語をオウム返しするのではなくって、相手が読んだ0.5秒くらいあとを
追うようにして読むことです。だから、じっくり聞いてから音読するのではなく、聞こえたそばから
音読しないといけないので、最高級に難しいのです。聞き取れない時点でOUTですし、聞き取れても
それを同じくらいのスピードでしゃべれない時点で、ついていけなくなるので、ネイティブ
レベルの英語力が要求されるという、世にも恐ろしい練習法です(汗)
シャドウイングとの出会い
この項は、飛ばしてもよいのです。なぜならば、この項はほとんどわたしの身の上話
みたいになってるからです。
それは、2002年の4月。大学の理工学部に在籍していたわたしは、大好きな英語を学べないことを悔しく
思っていました。4年生は、少しヒマなので、英語の講座でも取ってみよう、ということにしました。
でも、単位がほしい学生が適当にこなすような講座を取ってもしかたがないので、僕はスパルタ講座を
取ることにしました。そもそもシラバスの内容が過激で、やる気のない生徒は
痛い目を見るので取らないことをおすすめするとか、そのような注意書きがたくさん書いてありました。
取ってみると、確かにそのとおりでした。『速読速聴英単語』という単語集を渡され、毎回膨大な量の
宿題が課せられました。そして、毎回、それに関するテスト(単語テスト+内容チェック)が行われ、
10点中で6点以下を取りつづけると、イエローカードを渡されるのです。そして、それでも改善しない場合は、
レッドカードを渡され、即落第。10問ずつとはいえ、どの部分が出るかわからないので、
結局、ぜんぶ覚える必要があります。
授業はぜんぶ英語onlyで、先生に話しかけるときも英語を強制させられます(先生は日本人)。たまに、
先生の部屋に呼ばれて話などをするときも、ぜんぶ英語なのです。いま考えると、このときが一番、
英語を聞いていたししゃべっていました。(留学でもしている人は、当たり前なのでしょうが。)
でも、授業はそれだけではありません。授業の後半には、魔のシャドウイングテストが
待っています。さきほどの速読速聴英単語で宿題を出された範囲は、単語や内容を覚えるだけでは
なく、シャドウイングを完璧になるまで練習してこなければならないのです。
授業が後半になると、生徒は全員、部屋の外に追い出されます。そして、一人ずつ呼ばれます。呼ばれるのを
待つあいだ、イヤホンを使って、シャドウイングを練習する学生もいれば、本を片手にぶつぶつ音読する
生徒もいます。僕は、そういうのは嫌いなのです。家で自信があるというレベルまで
練習していれば、そんなときにわざわざやる必要もないのです。でも、彼らの恐怖心は、
痛いほどわかるのでした。
さて、いよいよ名前を呼ばれると、先生の前に座らされます。そうすると、Are you ready?と聞かれるので
Yesと答えると、先生がCDプレーヤのスイッチを入れます。すると『速読速聴英単語』の文章が流れます。
それを聞きながら、流れた文章を音読するのです。『速読速聴英単語』の予習の範囲は莫大で、しかも、
そのどの部分でシャドウイングのテストをするのかいっさい教えてくれないのです。
ただひたすら、CDの英語の音声を頼りに、それをオウム返しする、、、。この恐怖感、緊張ははかりしれません。
あまり、シャドウイングの練習をしないで学校に行ってしまったときなど、ほとんど音読できずに
モゴモゴ言っているだけでCDが終わってしまいます。終わったときの焦燥感たるや……
たいがいそういうときは、先生から、「君はいったい練習をしてきたのかね?」(英語で)という厳しいコメントが
帰ってきます。ひどい生徒は、そこで数分間説教を食らうのです。この授業についていけず、やめていった生徒の
数は計り知れないものでした。
シャドウイングのやり方
1.シャドウイングをする教材を用意する(CDがいいかも)。
2.まず最初は、英文を見ないで、CDの音声を聞きながら、聞いた直後に英文を音読する。(もちろん、
CDをストップしてはならない。)
3.それを何回かやる。
4.次に、英文を見ながら同じようにシャドウイングをする。英文自体の意味がわからないときは、
確認しておく。
5.英文を見さえすれば、英文と同じスピードで、同じ発音で、完璧に繰り返せるようになるまでやる。
6.完璧になったら、今度は英文を見ないでやる。
7.英文を見ないで、CDの音だけで完璧に繰り返せるようになったら、終わり。
よく、英文を覚えてしまう人がいますが、それは意味がありません。ふつうは、CDの音声の0.5秒くらい
あとをついていくようにシャドウイングするのですが、たまにCDの音声と同時に音読して
いる人がいます。(たまに、CDより先に音読している人も……(笑))それは、単に英文を覚えてしまって
いるだけで、聞く能力/しゃべる能力とあんまり関係がなくなってしまうと思います。
『速読速聴英単語』は、CDにslow speedとfast speedの2つが収録されているので(ただし基礎編のみ)、はじめにslow speedで
完璧にしたあとに、fast speedでやる、という練習をしていました。だから先生も、このCDを選んだのではないか
と思います。パソコンなどで再生して、再生スピードを調節しながらやるという手もあるかもしれないですね。
再生スピードを調節できるプレーヤとしては、KBmedia Playerというのがあります。ただし、mp3ファイルしか
再生できないので、Carryonというソフトを使って、CDをmp3に変換してからということになりますね。
シャドウイングのコツ
シャドウイングのコツというのは、ないのですね。ひたすら、繰り返すしか
ないのですよ。でもビックリすることに、繰り返しているといつかはできるようになるのですよ。
最初はついていくことができなかった文章が読めるようになったときは、すごく快感です。
男性だったら女性の音声を、女性だったら男性の音声をシャドウイングしたほうが、やりやすいと
思います。男性同士だと、声がかぶってしまって、聞き取れなくなるからです。
あと、よく感じるのは、単語を追って音読すると必ず失敗するなあということです。
単語を聞く→単語をしゃべる→単語を聞く→単語をしゃべる、というやり方だと、遅いときはいいのですが、
早くなるとぜったいだめなんですよね。なので、文章のまとまりを聞いて、文章のまとまりをしゃべる、
というのに意識をもっていったほうがいいと思います。まあ、そんなのができていたら、
シャドウイングなんか練習しなくてもいいようなレベルにすでに達しているような気もするのですが……
シャドウイングの効果
僕も最初は、半信半疑だったのです。こんなので、上達するのかなあ、と。しかも、あまりにもできないので、
だんだんイライラしてきて、ストレスがたまるようになってきました。でも、できないから
こそ、練習する意味があるのだ、と考えることにしました。
それを1年間繰り返した直後、TOEFL627、TOEIC990が取れたのだから、ぜったい効果があったのだと思う。
そして、練習をやめたあとで、TOEICのリスニングが急に難しく感じるようになったのは、いうまでもないであろう……。
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