2010年9月8日1時21分
外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長は7日夜、中国の程永華(チョン・ヨンホワ)・駐日大使に電話し、遺憾の意を伝えた上で、国内法に基づいて漁船の船長を逮捕する政府の方針を説明した。その上で、中国側に冷静な対応を呼びかけた。日本側の説明によると、程大使は「本国に伝える」と応じたという。
これに先だって、仙谷由人官房長官は外務省、海上保安庁の幹部と首相官邸で対応を協議した。船長を逮捕すれば、尖閣諸島の領有権を主張している中国側が強く反発するのは確実。東シナ海のガス田の共同開発をめぐる交渉に影響する可能性もあるが、政府関係者は「中国に毅然(きぜん)たる態度を示す。船は差し押さえて、石垣島か沖縄本島に連行することになる」と述べた。
ベルリン訪問中の岡田克也外相は7日、「我が国の領海内の出来事であるので、法に基づいて粛々と対応していく。先ほど官房長官とも電話でそういう方針を確認した」と記者団に語った。外務省幹部も「国内法の執行が、外交のためという理由で曲げられてはいけない。国内法に基づいて粛々とやるのが当然だ」と話した。
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【北京=峯村健司】海上保安庁の巡視船と中国漁船の接触をめぐり、中国の宋濤外務次官は7日夜、丹羽宇一郎・駐中国大使を外務省に呼び、「日本側による違法な妨害行為を停止するように」と抗議した。新華社通信が伝えた。船長逮捕の方針についての中国側の反応は出ていないが、同省の姜瑜副報道局長は同日午後の会見で「さらなる反応の権利を留保する」としており、今後激しく反発する可能性が高い。
姜副報道局長は会見で、尖閣諸島を「古くから中国の領土」だと強調。「中国の漁船や人員の安全を脅かす行動を取るべきではない」とし、日本の巡視船による現場海域での活動の停止を要求した。その上で「今後の事態の展開を注視する」などと述べていた。
中国側の報道では、中国漁船が操業中に海上保安庁の巡視船が現場に到着し、漁船にぶつかったとしている。