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きょうの社説 2010年9月8日
◎新エンゼルプラン 出生率向上が成果の目安
石川県が「いしかわエンゼルプラン2010」を策定し、今年度から5年間の子育て支
援計画が新たに動き出す。プランでは、マイ保育園登録事業やプレミアム・パスポート事業、男性の育児休業取得率など、施策ごとに数値目標が定められたが、子育て支援の最終的な目標が少子化に歯止めをかけることであるなら、プラン全体の成果を測る最も大きな目安は、出生率(合計特殊出生率)の向上である。厚生労働省の2009年人口動態統計では、石川県の出生率は1・40で、全国平均( 1・37)を上回ったが、同じ北陸でも福井県の1・55には及ばず、都道府県別では21位にとどまっている。ちなみに富山県は1・37で全国平均と同じである。 エンゼルプランは5年ごとに更新されてきたが、今回は石川県新長期構想に盛り込んだ 「2015年に1・50」という出生率の目標をプランで掲げたことが特筆できる。2009年ベースでは全国7位の数値である。全国的に出生率が上がった場合、目標の評価は変わってくるとしても、具体的な数値を掲げたからには、それを前面に掲げ、達成にこだわってほしい。 全国的にみれば、出生率は沖縄の1・79から東京の1・12まで地域差が生じている 。さまざまな社会背景もあり、子育て支援策の充実度と出生率の動向は必ずしも一致しない面があるが、出生率に地域差がある以上、国の一律的な施策とは別に、地域の実情に沿った取り組みは極めて重要である。 新エンゼルプランでは、保育士の訪問サポートや子育て支援コーディネーターの配置な ど、保育所施策に厚みを加えた。大都市圏では待機児童数の増加が問題となっているが、北陸ではゼロであり、保育所施策で量から質の充実を目指すのは当然の流れである。 石川県は多子世帯の買い物を優遇するプレミアム・パスポート事業をはじめ、全国に先 駆けた施策を次々に打ち出してきた。新エンゼルプランでは石川を「子育て支援先進県」と位置づけているが、その看板も他の地域以上に出生率を伸ばしてこそ、より高く掲げられるはずである。
◎台風9号北陸へ 猛暑で勢力維持、警戒を
台風9号が日本海を東進し、きょう8日昼にも北陸を直撃する恐れが出てきた。200
4年10月の台風23号の直撃以降、北陸は台風による被害らしい被害をほとんど受けておらず、警戒がつい緩みがちになることも考えられる。日本海側から上陸するタイプの台風は、過去に北陸、東北、北海道にかけて大きな被害をもたらす場合が多いだけに、気を引き締め直して十分過ぎるほどの備えをしておきたい。今年は猛暑の影響もあって日本海の海水温が平年より3〜4度高く、現在も28度前後 あるという。例年なら、台風は北陸に近づくころには勢いを失う場合が多いが、海水温が高いと、勢力の衰えが遅くなり、被害が広がりやすい。気象庁によると、台風9号は最大瞬間風速30メートル、北陸で1時間に50ミリ以上の激しい雨が降る可能性がある。特に土砂災害や河川の増水、高波への注意が必要だ。 地球温暖化の影響からか、局地的な豪雨が北陸でも珍しくなくなっている。河川整備が 進んでいるとはいえ、都市化の影響で保水力が落ちているのも気掛かりだ。08年7月、金沢市の浅野川がはんらんしたときも、あふれた水はみるみるうちに水かさを増し、大きな被害をもたらした。地下室や半地下の構造を持つ家屋は特に警戒を怠らぬようにしてほしい。 98年9月に石川県を直撃し、富山湾に抜けた台風7号は、石川県内で死者1人、負傷 者6人、床上・床下浸水1765棟、富山県で負傷者6人、住宅破損4棟、床上・床下浸水350棟に及ぶ大きなつめ跡を残した。 各地で稲刈りが始まり、農家は気が気ではないだろうが、水田や用水の様子を見て回る ときなどは、足元に十分に注意してほしい。98年の台風でも、被害の点検に出た高齢者が行方不明になっている。天気予報に耳を傾け、危険と思ったら外出を控えてほしい。 県のホームページからは、主要河川の水位がほぼリアルタイムで見られる。今のうちに ハザードマップ(災害予測図)などで、自宅周辺の危険度や避難経路を確認しておくことをお勧めしたい。
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