虎に待ち人来る−。0・5ゲーム差で迎える竜虎首位決戦。阪神は、能見篤史投手(31)がVロードの水先案内人になる。6日、甲子園球場で行われた1軍の投手指名練習に合流。右足甲の剥離(はくり)骨折で5月2日の登板を最後に戦線離脱していたが、2軍で2度の調整登板するなど状態は万全だ。
先発が濃厚な9日の中日戦(甲子園)に向け、ダッシュやキャッチボールで調整。スタンリッジ、メッセンジャーに続き3戦目のマウンドに立つ能見は「1軍? 気持ち的には変わらないです」。本人はひょうひょうとしたものだが、ここぞのタイミングで頼れる男が戻ってきた。
臨戦態勢は整っている。8月26日のウエスタン・リーグの広島戦で実戦復帰。試運転をこなすと、3日の同オリックス戦で6イニング1/3を2安打無失点の10奪三振。球速もMAX148キロを計時した。登板後に「不安はない? はい、見ての通りです」と力強く言ったように、不安はまったくなさそうだ。
今季の中日戦は4月24日に先発し、6イニングを1失点に抑え勝ち投手になっている。昨年もたった一度の登板だったが、9月25日に先発し、7イニング2失点で白星を挙げている。つまりは自身の才能が開花してからは2戦2勝。今季、チームは中日に7勝10敗1分けと負け越しているが、3つの借金はこの男がいなかったからだろう。
矢野が今季限りで引退を表明した。「結果が出ないときから気を使ってもらい、気にかけてもらった」としみじみと話したように、今の自身があるのは、ベテラン捕手の存在なくしてありえない。早くペナントを制すれば、引退試合を行うこともできる。チームのためだけではない。矢野のためにも能見は負けられない。 (島田明)
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