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押尾学被告、元マネジャーに身代わり懇願

 押尾学被告が乗車していると思われるバス=東京地裁
 押尾学被告が乗車していると思われるバス=東京地裁

 合成麻薬MDMAを一緒にのんで死亡した飲食店従業員田中香織さん=当時30=を救命しなかったとして保護責任者遺棄致死などの罪に問われ、無罪を主張している元俳優の押尾学被告(32)の裁判員裁判の第2回公判が6日、東京地裁(山口裕之裁判長)で開かれ、6人が検察側証人として出廷した。元マネジャーの男性は、救急車を呼ぶのを後回しにして、田中さんの命よりも自身の保身に走る被告の様子を明かし、被告と肉体関係があった女性は、被告からMDMAを勧められたことを証言した。

  ◇  ◇

 有名人を裁く初の裁判員裁判“第2ラウンド”には、押尾被告の元マネジャーと、その上司となる当時のチーフマネジャーが出廷し、田中さんに異変が起きてから救急隊が到着するまでの、いわゆる“空白の3時間”の謎を明かした。

 事件のあった昨年8月2日、元マネジャーは午後7時ごろに押尾被告から呼び出され、約40分後に事件現場に到着。同午後6時すぎに体調が悪化したとされる田中さんの死体を確認させられ、押尾被告から「人工呼吸と心臓マッサージをしたが助からなかった。クスリののみ過ぎかもしれない」と裁判のポイントにもなっている救命措置を施していたことを告げられたという。

 だが、すぐさま押尾被告が「見たこともない懇願するような目で『オレが一生面倒みるから、第1発見者になってくれ』」と身代わりになるよう求めてきたことを証言。

 元マネジャーに遅れて到着したチーフマネジャーが救急車を呼ぶよう5回ほど訴えたが、押尾被告は「ダメだ。自分がクスリを使っていることが分かってしまう。仕事ができなくなり、子供にも会えなくなる」とかたくなに拒否したという。

 さらに、押尾被告は元マネジャーに対し、「元マネジャーが、田中さんとセックスしていたことにする」、「田中さんとセックスした押尾被告は仕事のため現場を離れ、後からやってきた元マネジャーが死んでいる田中さんを発見したことにする」という2つの偽装工作を提案。

 チーフマネジャーから「無理がある」と否定されると、つめをかみ、貧乏揺すりしながら「ダメだ、Bプラン(別の作戦)を考えてくれ」と最後まで保身のための隠ぺいを企てようとしていた姿を明らかにした。

 “空白の3時間”に関する証言が法定内に響き渡る中、押尾被告は、じっと2人を凝視。手元では大学ノートにペンを走らせ、時折、指でクルクルと回すなど落ち着かない様子もうかがわせた。

(2010年9月7日)





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