民主党の代表選で、マニフェスト(政権公約)を実行する財源が焦点になっている。小沢一郎前幹事長は地方に配っているひも付きの補助金を、使い道が自由な一括交付金に変えることなどで財源を捻出(ねんしゅつ)できると主張している。
一括交付金への転換は民主党政権が掲げる地域主権改革の大きな柱だ。政府は6月下旬に地域主権戦略大綱を閣議決定し、2011年度予算から段階的に実施する方針を打ち出している。まず、公共事業関係の補助金から交付金にする見通しだ。
中央省庁の抵抗で、大綱の内容は閣議決定の直前に後退した。素案では一括交付金の性格を「地域が自己決定できる財源」と明記していたが、この文言は削られた。省庁が使い道に関与する余地が残った。
省庁の枠を超えたひとつの交付金になるのかどうかもあやふやだ。菅直人首相はこの問題で指導力を発揮したとは言い難い。
この点で補助金を大胆に改革するという小沢氏の主張はわかるが、それで多額の財源が浮くのか疑問だ。
地方向けの補助金は現在21兆円ある。そのうち、15兆円近くは国民健康保険や介護保険、生活保護など社会保障関係だ。こうした分野は制度の根幹を国が決めており、地方が無駄を省く余地はあまり大きくない。
義務教育も含めると補助金の8割近くは義務的な経費だ。教員の配置や福祉施設の基準など国が法令で自治体をこまごまと縛ったままで財源だけを交付金にしても、自由度は高まらない。そこまで改革する気が小沢氏にあるのか、はっきりしない。地方の裁量が大きい補助金は公共事業など全体の2割程度だろう。
全国知事会は一括交付金の総額について対象となる補助金と同額にするよう求めている。小沢氏は「民主党の調査では(交付金化で地方に配分するお金は)7割で済む」と話しており、かなり開きがある。
そもそも、一括交付金の目的は地方に使い道を委ね、創意工夫を引き出す点にある。予算の節約につながる面を強調するのは違和感がある。
小沢氏は高速道路について国が建設費を支援し、都道府県が整備する仕組みも提案している。一般道は自治体に権限と財源を移すべきだが、整備による受益が複数県に及ぶ高速道路については、国が建設する一定の合理性があるのではないか。
従来の補助金に大なたを振るう一方で、高速道路向けの補助金を新たにつくるというのも解せない。小沢氏はこうした点について詳しく説明しなければならない。
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