「触っているうちに寝ちゃう子も多いんですよ」。ベビーマッサージを教える満井麻美子さん=東京都世田谷区
ツイッターは子育て支援のツールになる。5歳の娘を一人で育てるベビーマッサージセラピストの満井麻美子さん(37)は思いを強くした。
昨年、ツイッターを始めた。つぶやきを見てくれる「フォロワー」は子育てママを中心に1千人を超える。
ある時、2歳と4歳の子がいるママが、掃除をする前と、2時間後の部屋の写真を掲載し、「結局これだけしか片付けられませんでした」とつぶやいた。
写真を見ると、居間に散乱していた物が端に寄せられた程度。それでも、「すごくがんばったね」などと、見知らぬママから次々とねぎらいの言葉が寄せられる。
読んでいて、思った。だれにも褒めてもらえない家事や、孤独になりがちな子育ての合間に、同じ境遇の人とつながることができるのは、すごいことじゃないか。近所づきあいが希薄な現代、世界中を「ご近所さん」にしてしまえる。ツイッターはそんなツールかもしれない――。
自身も、以前は「孤育て」に苦しんだ。
娘を妊娠中、夫が交通事故に遭い、後遺症で働けなくなった。娘が生後8カ月の時から、満井さんが派遣社員として働き始めた。
夫は家にこもりがちになり、自分にあたるようになった。夜、授乳の後に疲れて寝ていると、たたき起こされた。実家に帰ることも、友人と連絡を取ることすら許してもらえなくなった。
毎日怒られるうちに「私が悪いんだ」と思い込むようになり、壁に頭を打ち付けることもあった。「ママのまね」と、娘が床に頭をぶつける姿に我に返り、職場のパソコンからメールカウンセリングを申し込んだ。「つらかったですね」という返信を読んで涙が止まらなかった。その日を境に、2年以上続いた自傷は止まった。
娘が3歳の時に家を出て離婚。様々な事情で「孤育て」に悩むママの力になりたくて、母子の心と体を癒やす効果もあるベビーマッサージのセラピストの資格を取った。
ツイッターをママたちに広めようと、今月、初めて子育てママ向けの講座を開く。メールの一行に救われ、笑顔を取り戻した経験から、140文字のツイッターが持つ「共感力」に可能性を感じる。どうしたらママ同士がつながれるか。どういう時につぶやくと救われ、楽しいか。そんな話をしたい。(杉山麻里子)
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ツイッター講座は9月13日午後0時半から、横浜市青葉区美しが丘の「カフェパティオ・ウテロ」で。問い合わせはhttp://ameblo.jp/babymamazou/へ。
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■ツイッターに救われているママたちを取り上げた8月10日付の記事に対する読者の反響
・小学1年と5歳の子がいる横浜市の主婦(35)
夫の両親と同居し、介護のストレスから体調を崩すことが多く、ママ友作りがうまくいかない。私もツイッターに参加すれば救われるかも。
・高校2年の子がいる東京都世田谷区の主婦(52)
今年ツイッターを始めた。「子どもが夜泣きして眠れない」という子育て中のママのつぶやきに、「赤ちゃんの足を温めたらいかが」と返信し、感謝された。子育ての楽しさを伝えたい。
・小学6年から年少まで3人の子がいる神奈川県の主婦(38)
夫の転勤で5回引っ越し、孤育てした。今のママは気持ちを発散でき、共感してもらえるツイッターがあり、うらやましい。でも、生身のママと出会い学ぶことも忘れないで。宝になりますよ。
・3歳の娘がいる東京都東村山市の主婦(31)
出産後、育児ノイローゼ気味だったが、救ってくれたのは母親学級や育児サークルのママ友だった。公園や児童館で携帯をずっといじっているママが多いのが気になる。自ら孤立しているのでは?
中東ニュースがわかりにくいのは、何事にも過去の経緯があるからです。最新ニュースをを理解するために知る必要がある用語や基礎知識を、中東駐在の川上編集委員が分かりやすく解説します。