きょうのコラム「時鐘」 2010年9月7日

 これだけ暑さが続き、熱中症の犠牲者も多いと、もはやこの猛暑は災害だとの声もある

大雪が「38豪雪」や「56豪雪」となり、台風にも「室戸台風」や「枕崎台風」があるように、今年の猛暑にも名前をつけたい。「平成22年猛暑」とすべきか、地球規模の異常気象だから「2010年酷暑」とした方がいいのか

気候の記憶は忘れ易い。例えば、今年の春先に田植えが遅れた記録的な低温傾向も、この猛暑のおかげで影が薄くなった。四季に恵まれた日本列島は、気候に対しても「のど元過ぎれば熱さを忘れる」傾向が強いのである

日本人が「いいお天気で」とあいさつするのは四季折々に変化する気候が影響している。季節感が薄く、毎日必ず太陽が顔を出し、当たり前のように40度近い暑さが続く中近東の国々には、そんな常套句(じょうとうく)はないという

「きょうも暑いねー」が、あいさつ代わりとなったこの夏の記憶も、涼しくなればどこまで語り継がれるか分からない。防災力を蓄積するには名前があるのがいい。気象台にその気はないそうだが、こちらは勝手に、猛暑の名前に思いをめぐらせている。