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相次ぐ多剤耐性菌 厚労省、全国調査へ(1/2ページ)

2010年9月7日1時39分

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 厚生労働省は6日、帝京大学病院(東京都板橋区)で院内感染を起こした多剤耐性菌の全国調査に乗り出す方針を決めた。独協医科大学病院(栃木県)で見つかった別の新タイプの多剤耐性菌への対応も検討し始めた。いずれも海外で先行して感染が広がっており、国内での拡大に危機感を強めている。

 帝京大学病院で発生したのは複数の抗生剤が効かない細菌アシネトバクターだ。健康な人なら感染しても自分の免疫力で抑えられるほどの毒性だ。福岡大学病院や藤田保健衛生大学などで一昨年から今年にかけ、20人以上の患者が院内感染しており、集団感染事例が増えている。

 一方、6日に独協医科大学病院がインドから帰国した患者から見つかったと発表したのは「NDM1」という新型の多剤耐性の遺伝子を持つ大腸菌だ。インドやパキスタンで広まっているとみられている。欧州では、多くの人が医療費が安い現地へ美容外科手術などを受けに行く。治療の際に感染し帰国する例が問題になっていた。

 国立感染症研究所の荒川宜親・細菌第二部長は「大腸菌は誰もが持っている。必要以上に怖がることはないが、(健康な人でも)膀胱(ぼうこう)炎などの症状がある場合、原因の可能性もあるので早めに医療機関を受診して欲しい」と呼びかける。

 英医学誌ランセットの姉妹誌に8月に掲載された論文ではインドやパキスタン、英国などで見つかった180例を分析。「NDM1は他の菌にうつりやすく、他の菌が多剤耐性化する危険性がある」と警告している。すでに海外では、毒性は強くない菌だが、肺炎桿(かん)菌でも広まっている。食中毒を起こすサルモネラなど毒性の強い菌にうつる恐れも指摘されている。

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