故人の思い出を語る貴乃花親方
1日に82歳で死去した大相撲の元横綱初代若乃花で、日本相撲協会元理事長の花田勝治氏の告別式が5日、東京・中野区の宝仙寺で営まれた。放駒理事長(62)=元大関魁傑=をはじめ、おいの貴乃花親方(38)=元横綱貴乃花=や、元横綱3代目若乃花の花田勝氏(39)ら約600人が参列。「土俵の鬼」と呼ばれた昭和の名横綱に最後の別れを告げた貴乃花親方は、あらためて弟子育成に尽力することを誓った。
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「土俵の鬼」と最後の別れをした貴乃花親方は、穏やかな表情で故人をしのんだ。「飾られた花もシンプルで、“らしいな”と思いました。できれば現役時代の相撲を生で見たかった。りりしく、風格があり、背中に後光が差しているような方でした。最後に送るのは寂しいですね」と目を細めながら語った。
現役時代、花田氏からは「土俵に上がったら、がけっぷちにいると思え!!」と指導されたという。貴乃花親方は「19人の関取を育てるのは並大抵のことではない」と話し、「早くうちの弟子を関取にしたい。天上から『いい相撲を取っているな』と言われるようになりたい」と、弟子育成に励むことを誓った。
貴乃花親方は出棺時に棺をかつぐことなく傍らで見守り、斎場には足を運ばなかった。一方、先頭に立って棺をかついだ勝氏は「仕事に対して大変厳しい人でした。大変苦労なさった方で、今の自分があるのは、おじのおかげです」と感謝の思いを表した。この日も、最後まで兄弟が言葉をかわす場面は見られなかった。
(2010年9月5日)