大分県別府市明礬(みょうばん)の雑木林で若い女性の絞殺遺体が見つかった事件で、県警は6日、DNA鑑定により、遺体の身元を神戸市垂水区の看護師、横手宏美さん(28)と確認した。また、横手さんは家族に先月31日夜、「明日、別府の山の上にある温泉に行く」と電話で連絡していたことが分かった。横手さんの軽自動車が見つかった場所から西側に約500メートル先には無人の露天温泉があり、今月1日、この温泉への行きか帰りかに、事件に巻き込まれた可能性も出てきた。
県警の調べでは、横手さんが使っていた軽自動車は、遺体発見現場の約200メートル東方の道路脇にとめられていた。別府市内の男性が1日午後1時ごろ、この場所にとまっているのを目撃。3日にも同じ場所にあるので不審に思い通報した。
女性の遺体が見つかった現場の先には「鍋山の湯」がある。昨今の「秘湯ブーム」で訪れる人が増えているとはいえ、人通りは少なく不審な車が目撃されることもあった。
鍋山の湯は野趣あふれる雰囲気が魅力。近年は英語のガイドブックを手に、明礬温泉から歩く外国人観光客もいるが、夜間は真っ暗になる。地元の温泉案内書には「夜に女性だけで行かないように」と記されていた。
現場をよく訪れる自営業の男性(52)は昨年、何度か現場周辺で不審な四輪駆動車を目撃した。温泉に入っていく車の後をつけていくような様子だったという。【祝部幹雄】
毎日新聞 2010年9月6日 15時00分