韓国とハンガリー、自殺率トップめぐる競争の実態(下)

 日本の毎日新聞は今年7月、『自殺大国、韓国の「苦悩」』と題した特集記事で、アジア通貨危機後にさらに拡大した貧富の格差を、韓国での自殺の主な原因として挙げた。韓国では1997年に9109人だった自殺者が、アジア通貨危機後には1万2458人に増え、また人口10万人当たりの自殺者数も、97年の19.8人から、翌年には26.9人に急増し、その後世界最悪の水準を維持しているというわけだ。

十分な保護を受けられない老後

 ハンガリーでは、高齢者の自殺率が際立って高い。共産政権時代から運営されている国立病院は、現在も無償医療を原則としているが、政府による財政支援が不十分なため、看護師不足が深刻化している一方、患者たちは医療費が高い民間病院を避け、国立病院へ集まるため、診察を受けるために長時間待たなければならない。

 さらに体制転換以降、「国が責任を持って保護する」という福祉の概念も崩壊してきている状況だ。年金の支給額は、上昇が止まらない物価水準に到底追い付かず、高齢者たちはかつかつの生活を余儀なくされている。また、体制転換後に解雇された人も多く、老後に備えることも困難になった。

 韓国もまた、社会的セーフティーネットが脆弱(ぜいじゃく)なことに加え、経済難や家族の崩壊などにより、65歳以上の高齢者の自殺率は、64歳以下の年齢層に比べ4倍も高く、自殺者数もこの10年で3倍に増えた。

 ところが、ハンガリーと韓国は、自殺防止のための公的な対策が不十分という点まで共通している。韓国自殺予防協会が昨年、韓国のうつ病や自殺に関する相談・予防プログラムを、米国やイギリス、オーストラリアなどと比較した結果、自殺を図った人に対する管理水準は最も低いことが分かった。

 高麗大医学部精神科の李敏秀(イ・ミンス)教授は、「日本では、地方自治体が中心となって精神保健福祉センターを運営し、うつ病患者や自殺を考えている人たちを集中的に管理することによって、自殺者が40%程度減少した。韓国でも地域社会が中心となり、うつ病患者の管理を徹底していくべきだ」と指摘した。

呉允煕(オ・ユンヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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