韓国とハンガリー、自殺率トップめぐる競争の実態(中)

 今年6月、ブダペスト市内の職業紹介所で会ったエバーリン・ヤノシさん(46)は、記者の取材に対し、「英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ハンガリー語のうち、どの言語で話せばいいか」と聞き返した。二つの博士学位をはじめ、六つの学位を持つエバーリンさんは、十数年間にわたってソフトウエア開発の仕事をしてきたが、昨年会社が倒産したため職を失い、数カ月もの間、仕事を見つけられずに職業紹介所を転々としていた。

 韓国でもまた、早期退職など雇用の問題が年々深刻化の一途をたどっており、中でも若者の失業率は危機的な水準にある。今年7月、サムスン経済研究所は、今年上半期の青年層(15-29歳)の「体感失業率」が23%に達し、統計上の失業率(8.6%)より3倍も高く、青年層の4分の1が事実上の失業状態にある、と発表した。

深刻化する貧富の格差

 資本主義化後、ハンガリー社会は豊かになったが、一人一人の生活の質は向上したとはいえない状況だ。所得の増加幅よりも物価の上昇幅が大きく、2004年のEU加盟後は物価上昇のペースがさらに加速した。

 エトベシュ・ロラーンド大学を取材していたときに出会った、同大の学生ラブリヌク・レベンテさんの説明は実感がわくものだった。

 「20年前、父親の月給は4000フォリント(現在のレートで約1600円)だったが、わたしは今、アルバイトで月に12万フォリント(約5万円)を稼いでいる。しかし、20年前には、高級レストランで食事をしても3フォリント程度だったのに対し、今はマクドナルドのハンバーガーの値段が1500フォリントだ。昔は月給の1000分の1で済んだ食費が、今では80分の1ほどに跳ね上がった」

 貧富の格差による相対的はく奪感も高まった。OECDによると、体制転換直後の1990年、ハンガリーのジニ係数(社会における所得分配の不平等さを測る指標)は0.273だったが、2005年には0.291に上昇した。ブダペスト西駅にはいつも、十数人のホームレスが集まっているが、そこからわずか十数分のところには、グッチやルイ・ヴィトンなどのブランド品の店が集まるバーツィ通りがある。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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