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2010.09.06

 北朝鮮が報道 党代表者会の開催近づく 7日にも開催される可能性あり  

カテゴリ北朝鮮出典 時事通信 9月6日 電子版 
記事の概要
北朝鮮の朝鮮中央通信によると、労働党機関紙・労働新聞は6日の政論で、「わが党の歴史に意義深い1ページを刻む出来事が近づいた」と指摘するとともに、「代表者が平壌に入っている」として、労働党代表者会の開催が近づいていることを明らかにした。

政論は「代表者会は、金総書記を陣頭に頂き、永遠に不滅である労働党の白頭山のような意志、金日成朝鮮の輝かしい未来を約束する希望の砲声である」と強調した。

しかし開催日には触れていない。

北朝鮮メディアは6月、代表者会が9月上旬に招集されると報じているが、開催日は明らかになっていない。

同会では、金正日総書記の三男ジョンウン氏が公職に就き、後継者として内外に公表されるかどうかが焦点となっている。

韓国の聯合ニュースによると、1966年の前回の代表者会の際も、代表者が平壌に到着したとの報道があり、その翌日に会が開幕した。この点を考えると、今回の代表者会が7日に開かれる可能性がある。

韓国紙・東亜日報は消息筋の話として、準備状況から判断すると、代表者会が、党最高指導機関である党大会に匹敵する規模で開催される見通しだと報じた。
コメント
独裁者の後継者作りという政治作業は、多大な業務と莫大なエネルギーを必要とするようだ。

軍事の天才であるジョンウンが、金日成、金正日の正当な血筋のもとに、北で3代目の後継者に選任されたと飾る政治儀式である。

在日朝鮮人にとって金日成は特別の人だったそうだ。戦後の差別と貧困の中で苦しんでいた在日1世の世代にとって、日本の銀行や信用金庫は相手にされなたっかのに、金日成の指示で朝鮮信用金庫が融資ししてくれたおかげで、パチンコや焼肉料理店を開業し、極貧から救い出してくれた恩人というイメージがあるそうだ。

しかし金正日に関しては、在日世代で批判する声は多かった。父親の遺骨を故郷の墓に入れに返った息子は、役人からはワイロを脅し取られ、親戚からは持ち物をむしり取られたと話してくれた。

その話を聞いたのは、今から25年も前の話である。

公然と総連関係の在日の人が、北朝鮮を堂々と批判する話を聞いたのはその時が初めてだった。

それでも雑誌やラジオなどのメディアでは、北朝鮮を批判する言葉は避けるのが普通であった。

朝鮮総連から組織的に猛烈な抗議を受けるからである。

出版社の講談社は代表電話が数日間繋がらなくなった。朝鮮総連が傘下の組織や会員に命令して全国から一斉に講談社に電話して、代表電話をパンクさせたからだ。

日本のメディアで北朝鮮を批判しても抗議が来なくなったのは20年〜15年ぐらい前と思う。確実に来なくなったのは10年前頃のように記憶している。

北朝鮮に一時帰国した総連系の在日の人が、あまりにひどい祖国の現状に心を痛めてからである。

それから北朝鮮の状況はさらに悪化した。飢餓からくる栄養失調は国民の平均身長さえ短くしている。食糧事情はさらに悪くなっている。

そんな北朝鮮に第3代目の独裁者が生まれようとしている。

そんな祖国の危機に在日のコリアは立ち上がらないのか。在日は祖国解放戦線を組織しないのか。祖国で独裁に苦しんでいる同胞を助けたいと思わないのか。

アメリカの経済制裁に期待する前に、在日として北にやるべきことはないのか。北朝鮮国民の窮乏を救ったのは一人の在日だったという者は生まれこないのか。不思議な民族である。
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