去年からことしにかけて流行した新型インフルエンザで、国内各地の病院に入院した子どものおよそ90%は、症状が出てから48時間以内に抗ウイルス薬を服用していたことがわかり、専門家はすばやい治療が世界的に見て、低い死亡率につながったとしています。
横浜市にある、けいゆう病院の菅谷憲夫医師たちのグループは、去年6月からことし1月にかけて、新型インフルエンザで国内各地の病院に入院した子どもおよそ1000人の治療前後の経緯などを調べました。その結果、ほぼ全員が抗ウイルス薬の「タミフル」や「リレンザ」を処方されていて、詳しい経過がわかった子どものおよそ90%は、症状が出てから48時間以内に薬を服用していました。一方、医学専門誌などによると、アメリカでは抗ウイルス薬を服用していた子どもは80%に満たず、発症から48時間以内に服用したのは、多くても51%にとどまっていたということです。新型インフルエンザで死亡した人の割合は、人口10万人当たり、▽アメリカが推定で3.96人、▽カナダが1.32人などとされているのに対し、▽日本は0.15人と世界各国より大幅に低くなっています。菅谷医師は「流行の中心となった子どもで、すばやい治療を徹底したことが、世界的に見て低い死亡率につながったと考えられる。再び流行が起きた際にも、抗ウイルス薬の早期服用が有効だと思う」と話しています。