紙パンツ覆面強盗、尿漏れ対策の愛用品

　「紙パンツマスク」姿で東京都練馬区のコンビニに押し入り現金を奪ったとして、警視庁石神井署は５日、韓国籍の無職男（５５）を強盗容疑で逮捕した。男は目の部分に２つ丸い穴を開けた紙パンツを頭からかぶるという異様な“覆面”姿で入店し、包丁片手に「マネー！」と店員を脅迫。紙パンツは持病の尿道結石のため、尿漏れ対策などで日ごろから着用していたという。現場すぐ近くのアパートに１人暮らし。生活保護を受けており「お金が欲しかった」と供述している。

　石神井署に逮捕されたのは、東京都練馬区、無職金炳一（キム・ピョンイル）容疑者。調べでは、８月２５日午前２時５分ごろ、同区東大泉のコンビニ「スリーエフ東大泉２丁目店」に押し入り、包丁を男性店員（３１）に突き付けつつ金を要求し、売上金約１４万１０００円を奪って逃げた疑い。同容疑者は４日午後６時半ごろ、このコンビニに出頭。「この前の事件は私がやりました」と罪を認めたため、コンビニからの通報を受けた同署員が急行し身柄を確保した。容疑を認め「お金が欲しかった」と話しているという。

　同署によると、中肉中背の金容疑者は徒歩で現場に来て、黒っぽいジャージー上下に、白い紙パンツを頭からかぶった不気味な格好で入店。目の部分だけカッターナイフで切り抜き、直径数センチの丸い穴を２つ作っていた。当時客はおらず、店員はこの男性１人だった。

　金容疑者はいきなりレジに近づいて右手に持った包丁を突きつけ「マネー！　マネー！」と店員を脅迫。店員が売上金約１４万１０００円をカウンターの上に置くと、その札束を左手でわしづかみにし「追いかけてきたら刺すよ」とけん制し、逃走したという。

　金容疑者の供述によると、尿道結石の持病があり、それによる尿漏れや頻尿対策などのため紙パンツを常用しているという。所有している１枚を今回「覆面」に悪用したとみられる。

　コンビニを出た直後、すぐ紙パンツを脱いでおり、その際入店客に素顔を目撃されていた。同署ではそれらの情報から犯人の似顔絵を作成して捜査。浮上した金容疑者宅に捜査員が２回、聞き込みに行っていた。同容疑者は逮捕後「自分が疑われていると思って観念しました」と、出頭した理由を供述しているという。

　金容疑者は独身で生活保護を受けており、現場コンビニから直線距離で７０～８０メートルの地点にあるアパートに単身居住。５日、窓のカーテンは閉められ「弟が急死のため仙台に帰ります　２、３日で帰ります　９／３ＡＭ７：００」と書かれた紙が窓に張られていた。近所の人は「彼は数年以上前からこのアパートに住んでいる。いつもピリピリした、怖い感じの雰囲気で、近所付き合いはほとんどないはず」と証言した。

　紙パンツは、吸水性が高い素材が使われており、高齢者らの尿失禁対策用品などとして販売されている。石神井署によると、同署管内で過去「紙パンツ覆面強盗」事件が起きた例は「聞いたことがない」という。

　［2010年9月6日8時36分　紙面から］