アーキテクチャの比較(ホスト)
VMware vSphereにはESXとESXiという2種類の仮想化ホストがあります。いずれもハードウェアに直接インストールするタイプのソフトウェアで、中核部分はVMkernelと呼ばれます。ESXとESXi、両者の最大の違いはService Consoleの有無です。
Service ConsoleはESXに組み込まれたLinuxベースの仮想マシンで、ローカルのコマンドラインインターフェースを提供し、サードパーティ製の監視エージェント等のインストール先として使用されています。
一方、Service Consoleを持たないESXiはリモートからの管理を前提としており、ローカルコンソールには最小限の設定を行うためのBIOSライクなインターフェースが提供されます。ESXのようにサードパーティ製のエージェントを組み込むことは出来ませんが、ESXに比べてリソース占有量の削減やセキュリティの向上などのメリットがあります。
なお、VMware vSphere 4.1では、ESXi無償版はVMware vSphere Hypervisorに名称が変更されています。また、リリースノートにおいて、今後のメジャーリリースにおいてはESXiのみが提供され、ESXは提供されない(サポートは継続)ことが記されています。
Citrix XenServerのハイパーバイザはXenです。XenServerもVMware ESX/ESXiと同じくハードウェアに直接インストールするタイプです。VMware ESX/ESXiと異なる点は、Domain 0 の存在です。Domain 0は、Xen用のカーネルで動作するLinuxです。
Xenは自身がデバイスドライバを持っておらず、汎用OS(Linux)から借りる必要があるため、Domain 0に依存した状態で動作しています。Domain0は一見、ESXのService Consoleと似ていますが、VMwareはVMkernel自身が独自のデバイスドライバを持っており、Service Consoleはデバイスドライバを貸し出してはいません。
こうした仕組みの違いにより、汎用的なLinuxのデバイスドライバを流用できるXenServerの方が、比較的多くのサーバで動作する傾向があります。ただし、どちらの製品を使用するにあたっても、ハードウェアの対応状況は必ず確認することをお勧めします。対応状況の確認には、両社のハードウェア互換性リストや、ハードウェアベンダーの対応情報を確認してください。
XenServerホストのローカルコンソールは、一見VMware ESXiに似ていますが、仮想マシンやリソースプールの管理など、ESXiに比べて設定可能な項目が多くなっており、Domain0のコマンドラインインターフェースも呼び出せます。XenServerをコマンドで管理する際にはxeコマンドを使用しますが、コマンドを使わなくても基本的な管理をメニューで行えるため、ローカルコンソールで操作はESXに比べて容易です。(次ページへ続く)