【コラム】韓国の「シャーマニズム信仰」(下)

 もちろん、巫教のクッパン(シャーマンが行う儀式)の神通力が「ダイナミック・コリア」をつくった側面もある。韓国学者のチェ・ジュンシク氏は、「ぬるいものより熱いものを好む韓国人の潜在的傾向は、“韓国人の永遠の宗教”である巫教から始まったのではないかと思う」と語った。産業化時代、韓国人は「いい暮らしをしよう」というスローガンの下、意気揚々と働き、「漢江の奇跡」をもたらした。常に「早く、早く」動くのも、目の前で勝負をつけなければ気が済まない巫教の現世主義から来たといえる。2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)での熱い街頭応援ブームを、「街角のクッパン」と呼ぶ民俗学者もいる。

 韓国人の無意識の中にある巫教の影響は、最近の新聞を見てもすぐ目に付く。次期警察庁長官に対する国会の聴聞会の直前、昨年自殺した盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の借名口座問題が、突如政局の核として浮上した。論争を引き起こした次期警察庁長官は聴聞会で、独り言をつぶやくシャーマンのような応答に終始した。ある野党議員が、「盧前大統領がどういう恨みを持っていたのか、すべて解明し、歴史の記録に残さなければならない」と、まるで招魂の儀式のような再調査を求めたのは、どういう事情があってのことか。

 韓国の聴聞会は、クッパンのように進むのが常だった。任命前に「厄払い」をしなければならない高官候補者らが出てきて、冷や汗を流す。現世的物質主義を代表する不動産投資疑惑が、告祀の祭壇に供えるブタの頭のように登場する。さらに、聴聞会とはまた別に、韓国の政治家の巫教信仰を風刺的に示す事件が最近報じられた。金の国璽(こくじ)を作った職人が、残った金で幾つか金印を作り、有力政治家らにプレゼントし、その金印を左手に持って振ると、「運勢が大いに開ける」と話した、といううわさが広まっている。クッパンのような政治には、霊験あらたかな品やお守りが欠かせないとはいえ、21世紀の大明天地にあっては実におかしなことだ。

朴海鉉(パク・へヒョン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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