ここから本文エリア 足利の萌えキャラ、目指せアニメ化 観光振興に新発想2010年9月3日
足利市で地域のマスコットキャラクター「ひめちゃん」「たまちゃん」を活用した新しい観光振興が動き出した。地元の企業とアニメ製作会社が連携し、マスコットキャラクターを主人公に市内を舞台としたアニメ作品「足利ひめたま」の製作を目指している。既存のアニメを観光に利用するのとは逆に、「地元から育てて、全国規模のアニメにしたい」という試みだ。 足利市西宮町の高台にある織姫神社に、アニメ風の美少女2人が渡良瀬川を背景にポーズをとったポスターがはられている。名前は「はたがみおりひめ」と「かどたみたま」で、7月に誕生したばかりのキャラクターだ。2人のモデルは「縁結びの神」として知られる織姫神社と、不幸や病気と縁を切る「縁切りの神」の門田稲荷神社の祭神だ。 地元企業から依頼されてデザインしたのは売れっ子デザイナーの奥田泰弘さん。奥田さんは、2004〜07年に民放で放送され、今年1月には映画化された人気アニメ「魔法少女リリカルなのは」を手がけている。市内の企業や商工会青年部などでつくる「足利ひめたま製作委員会」には、「いつ放映されるアニメか」などといった奥田さんのファンからの問い合わせが多く寄せられている。 もともとは市内の企業のイメージキャラクターを作る予定で今春に立ち上がった企画だった。それが、商工会青年部などの賛同も得て市の産業全体を応援するキャラクターに。さらに、アニメ化へと夢が広がった。 「ひめちゃんはお金持ちのお嬢様。たまちゃんは貧乏だけど明るい子。2人とも、市民を元気にするためにがんばる神様」といった細かい設定もできあがっている。 一方、商工会青年部の副会長でもある製作委員会の富田勘也会長(45)は「有名デザイナーに依頼したが、アニメ化する予算は全くない」と言い切る。そこで、製作委員会が参考にするのは、人気アニメ「らき☆すた」の舞台として観光振興に成功した埼玉県の旧鷲宮町(現久喜市)だ。 「聖地巡礼」と称して多くのファンが訪れ、地元商工会もそれに応じて関連商品の開発などを展開。登場人物の自宅として描かれた鷲宮神社では、2007年に13万人だった初もうで客が今年は45万人まで増えるなど、アニメツーリズムによる観光業の活性化につながった。 製作委員会に参加するアニメ製作会社ディレクターの宮本夕生さんは「足利を舞台にした有名作品はない。それならばゼロから作って有名にすればいいという発想。ゆっくり育てていきたい」と話す。 今後は市内の企業や団体に商業使用を認め、市内での普及をはかる。今月末には織姫神社近くにアンテナショップを開き、絵はがきなどの公式キャラクターグッズと地元の物産を販売するという。4コマ漫画などを掲載した地域情報紙の発行も予定している。 富田会長は「まずは市民全体から愛されるキャラにしたい。数年かけて浸透させ、アニメや映画化にこぎ着けられれば」と期待する。(矢吹孝文) ◇ 〈アニメツーリズム〉 アニメやマンガのファンが、作品の舞台となった土地などを訪れる旅行のことで、「聖地巡礼」とも呼ばれる。ハコモノや公共事業に依存しない新たな地域振興策として全国各地で注目されている。埼玉県では昨年6月、アニメを地域資源として活用するためにアニメ関係者や有識者、地元住民らを集めた「アニメツーリズム検討委員会」を設置した。
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